<中日0-9西武>◇6日◇ナゴヤドーム

 あれ?

 違和感がない。西武岸孝之投手(25)がハーラートップタイの今季8勝目を、苦手のデーゲームで挙げた。09年5月4日以来、勝ち星がない鬼門だったが、12戦目で連敗を5で止め「デーという感じがしなかった。時計を見たら、そうなんだという感じでした」。日差しの入らないナゴヤドームで、めっぽう強いナイターだと、頭と体が錯覚したのかもしれない。2安打無四球完封で、中日打線につけいるスキを与えなかった。

 直前ブルペンの投球練習は、苦手の再現を予感させるものだった。潮崎投手コーチに「あれを見たら誰も勝てると思わないくらい、ひどかった」と酷評されたが、試合になると一変。昨季3被弾したブランコから3三振を奪い、三塁を踏ませない内容で敵地を沈黙させた。「最初は悪くてどうなるかと思ったけど、カーブがよかった。最近チームに迷惑をかけていたので、先に点はやらないように」と集中して高い修正能力を見せ、ゲームを支配した。

 試合前まで今季デーゲームは2戦0勝1敗、防御率8・68。対してナイターは9戦7勝2敗、防御率2・14。極端な成績から“夜の帝王”と呼ばれるが「帆足さんを見習って、キャッチボールの後にジョギングを取り入れた」とデーゲームが得意な先輩左腕に聞いて、調整法を工夫した。交流戦に入って中5日が続き、疲れもたまっていた。順番通りなら5日のヤクルト戦でも登板可能だったが、同じデーゲームでも、中5日で野外の神宮と、中6日で空調の効いたナゴヤドームでは、体への負担が違う。ローテを組み直した首脳陣の配慮に応えるように、デーゲームでも最高のパフォーマンスを発揮した。【柴田猛夫】

 [2010年6月7日8時36分

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