最下位から巻き返しを目指している日本ハムに、また暗雲が漂った。主力の1人で不動の一塁手、高橋信二捕手(31)が8日、出場選手登録を抹消された。6日横浜戦で死球を受け、右ふくらはぎ内側を打撲。完治には1週間程度を要するため、離脱が決まった。最短の再登録は18日以降で、残りの交流戦7試合の出場が不可能になった。

 先を見据えての苦渋の決断だった。7日に都内の病院で精密検査を受け、負傷の状況が判明。その夜に梨田監督らで話し合いを行い、完治を優先させる方針を固め、本人へ通達した。「代打で1打席というのもできるけれど、肉離れを起こしやすい場所やから、キチンと治そうという話をした」と経緯を明かした。一時的な戦力ダウンは覚悟の上で、長期離脱を避けるため、シーズンを見据えての最善策をとった。

 3年ぶりの交流戦優勝が狙える位置につけた終盤にきて、アクシデントが連鎖した。5日には中継ぎ陣で重責を担っていた、武田久が右内転筋痛で抹消されたばかり。高橋の代役の一塁手には稲葉、二岡を併用するなどして乗り切る。稲葉を一塁起用した場合の外野手には鵜久森と陽、佐藤らの若手の現有戦力を抜てきし、急場をしのぐことになりそうだ。

 高橋は9日からのヤクルト2連戦(札幌ドーム)は1軍練習に参加し、リハビリをしながら今後の方向性を決めていく。主に打順6番を任されていたが、昨季と今季序盤は4番を務めた貴重な打線の核を失うことになった。1分けを挟む5連敗を止め、横浜に連勝してようやく上昇気流に乗りかけたところで、また難題が浮上した。苦悩の梨田監督は「今、いる選手でやっていくしかない」と前を向き、腹をくくった。試練の1年が続く。

 [2010年6月9日10時3分

 紙面から]ソーシャルブックマーク