<巨人4-7中日>◇19日◇東京ドーム

 オレ竜の大砲が巨人を粉砕した。中日トニ・ブランコ内野手(29)が2打席連続本塁打で試合を決めた。同点の8回に勝ち越しの15号ソロを放つと、再び同点とされた後の9回には特大の16号3ランをたたき込んだ。交流戦では不調で5番に降格したが、今季初の1試合2発で目覚めた。これで勝率を5割に戻し、再び首位と6ゲーム差。やはり巨人追撃にはB砲のパワーが欠かせない。

 東京ドームに飛び交った5本のアーチの中でもとびきりの迫力だった。同点で迎えた9回2死一、二塁。ブランコは巨人の守護神クルーンの初球をとらえた。153キロの剛速球が左翼スタンド上段まではじき返された。「クルーンは球が速いからバットに当てることを考えた」。熱戦に終止符を打った16号決勝3ラン。指を天に突き上げると、ゆっくりとベースをまわった。

 乗っていた。同点で迎えた8回にも、巨人山口の外角球に体勢を崩しながら右翼席まで運んでいた。勝ち越しソロ。規格外のパワーに敵地が静まり返った。その裏に阿部の1発で同点とされたが、9回に今季初の2打席連発。投手陣が巨人打線に浴びた3発をブランコが1人でひっくり返してしまった。

 「とにかく積極的にいくということを考えたんだ」。試合後、ブランコは興奮していた。まくしたてながら連発したキーワードが「積極性」だ。交流戦では24試合で打率2割1分3厘、6本塁打、16打点と低調で、ついには4番を外された。来日2年目、昨季2冠王に対して各チームの攻めは厳しい。ボール球を振ってはいけないという呪縛(じゅばく)から、本来のフルスイングが影を潜めていた。

 この日は2本塁打を含む3安打4打点。文句なしの活躍だが、その裏には第1打席からの2打席連続三振があるのかもしれない。「三振が悔しい?

 それも試合の一部だよ。ボール球を振らないと言うより、自分がストライクと思う球を打つことだけを考えるようにしているんだ」。思えば昨季、ブランコの獲得したタイトルは本塁打王、打点王。そして三振王だった。三振を恐れる大砲より、無心のフルスイングに相手は震え上がる。積極性を取り戻したブランコは、長いトンネルの出口に近づいているのかも知れない。

 「ここまでも3、4、5番が打って勝ってきたんだ。それが止まれば勝てないだろうし、機能し始めればそれなりの試合になる。取り立てて話題にするほどのことでもないよ」。落合監督は当然と言わんばかりに振り返った。やはり巨人を倒すには、ブランコのパワーが必要だ。【鈴木忠平】

 [2010年6月20日11時55分

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