<広島5-1巨人>◇1日◇マツダスタジアム

 広島前田健太投手(22)が、今季3度目の完投勝ちでリーグトップに並ぶ10勝目を挙げた。負ければ自力優勝の可能性がなくなる巨人戦で、4安打1失点完投。開幕から続いていたチームの巨人戦の連敗を8で止め、プロ4年目で初の2ケタ勝利に到達した。

 広島前田健が瞬時の頭脳プレーでスクイズを外した。2点リードの3回1死三塁。内海への4球目で三塁走者の脇谷がスタート。バントの構えを見ると、とっさに投げるコースを変えた。「追い込んでチェンジアップだったけど、ちょっと横に外しました」。内海は三振、飛び出した脇谷は挟殺で初のピンチを脱した。

 あとは若き右腕のペースだった。制球力抜群の曲がりの遅いスライダーでアウトを重ねた。全117球中、スライダーは51球。従来の速球中心の組み立てからイメージチェンジし、戸惑った巨人打線を4安打1点に抑えて完投。チームを4位タイに再浮上させた。

 今季、飛躍の要因は「速球が良くなったから」と自己分析するが、スライダーのキレが増したのも大きなポイントだ。「真っすぐに近い腕の振りでしょう。球筋も1種類じゃない。毎回、一緒の曲がり幅にならないし、一緒の球速にならない。指先の感覚を変えます」と明かす。速球を投げる右腕の振りが鋭くなった結果、思わぬ「副産物」を得た。

 8勝14敗に終わった昨オフ。年末に大阪の実家に帰省すると母幸代さん(45)に声を掛けられた。「正月、どこか旅行に行こうよ」。一家で向かった先は三重・伊勢神宮だ。絵馬に「2ケタ勝利」と願掛けした。負けていれば自力優勝の可能性が消えた一戦で踏ん張って、有言実行の今季10勝目に届いた。

 この日発表された球宴の選手間投票では投手部門1位。先日発表されたファン投票では、両リーグ最多得票と、今やプロ野球界を代表する存在になりつつある。「W杯日本代表が残念ながら負けたけど、これからは野球に集中して応援よろしくお願いします」。お立ち台でそう言ったマエケンが、日本の夏を熱くする。【酒井俊作】

 [2010年7月2日9時8分

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