チェンで首位浮上だ!

 7日の阪神戦に先発予定の中日チェン・ウェイン投手(25)が、右ひじの違和感で登録を抹消されたエース吉見の不在を自らがカバーし、逆転Vを目指す決意を明かした。「吉見さんの分も精いっぱい頑張る。首位を狙っていくことが一番大切ですから」。0・5ゲーム差をひっくり返して4月15日以来の首位に立ち、逆転Vへの流れをチームに引き寄せる。

 力強い言葉だった。阪神との決戦の地・神戸に入ったチェンは、こう言い切った。「これからの試合は全部大事。負けるとゲーム差が開くので、負けられない。吉見さんの分も精いっぱい頑張っていきたい。抹消されたけど、またすぐ戻ってくる可能性もある。それまで自分も精いっぱい頑張る」。

 9日の阪神戦先発が予想されていた吉見が出場選手登録抹消。エース抜きで戦う7日からの首位攻防3連戦に向け、闘志をかきたてた。

 吉見とは、昨春キャンプで同部屋だった。数々のアドバイスをもらい、今年は開幕投手の座を争った。シーズン中はカードの頭を任される左右の両輪として、互いにチームに勝ちを運んできた。プライベートでは親しみを込めて、1歳上の吉見を「ヨッシー」と呼び、登板のない日は一緒に食事に出かけるなど、兄のように慕う存在でもある。

 そんな吉見からお茶目な“激励”も受けた。6日はナゴヤドームでキャッチボールやダッシュなどを行ったが、駐車場に止めてあった愛車のフロントグリルの編み目部分に、2本のほうきが突き刺さっていた。チェンは「やられた~。こんなことするの、うちのエースしかいないですよ」。それでも、吉見の気持ちがうれしかった。

 今季、阪神戦の成績は4試合の登板で1勝2敗。防御率5・32と打ち込まれているが、7月以降は対戦がない。チェンも「今は状態も悪くないし、気持ちはいつもと一緒。1番から9番まで気を抜かず、大量失点をしないようにしたい」と、気を引き締める。

 今季ここまで11勝。12勝の同僚吉見、広島前田健、巨人東野、阪神久保を追いかけている。それでも「最多勝はちょっと難しいと思っている。まずはチームの状況を考えないと。(タイトルを)取れるか取れないかよりも、首位を狙っていくことが一番大切」と、フォア・ザ・チームに徹する。阪神戦に勝ち越せば、逆転Vに1歩近づく。そのためにもまずは1勝。チェンは吉見の思いを胸に、猛虎の出ばなをくじく。【福岡吉央】

 [2010年9月7日11時30分

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