<広島4-11阪神>◇2日◇マツダスタジアム

 消化試合になんてさせない!

 広島野村謙二郎監督(44)が、ボークの判定に猛抗議した。3回2死一、二塁で先発ジオがボークをとられた。球審が塁審に確認しての判定というジャッジの手際の悪さに怒った。広島からみれば消化試合ともいえるゲームだったが、迫力満点の抗議で2万8000人以上が詰めかけた観客席を沸かせた。試合は守備のミスも出て4-11で敗れ、連勝は3で止まった。

 黙ってなどいられなかった。野村監督は脱兎(だっと)のごとく一塁側ベンチを飛び出し、敷田三塁塁審の元へ走り寄った。身ぶり手ぶりをまじえ、鬼の形相で抗議した。最終的に引き下がったが、その表情は納得していなかった。

 野村監督

 あやふやなジャッジの仕方に納得がいかなかった。ボークと思うならボークと明確に言えばいいのに、それがないのでは判断のしようがない。

 問題の場面は、3回2死一、二塁、阪神城島で起こった。先発ジオが初球を投げる前に、セットポジションに入りなおそうとしたところで名幸球審が手を広げてゲームを止めた。同球審は敷田塁審のもとへ行き、確認した後で2人の走者に進塁をうながした。

 名幸球審は「(ジオの)投球動作の中断です」とボークと判定した理由を説明したが、ジオは「ボークじゃない。(プレートから)足を外していた。(球審が)タイムをかけたのかと思ったが、何が起こったのか分からない」と戸惑った。指揮官の目にも、中途半端なジャッジと映った。

 野村監督

 クレーム以前の問題。あれでは選手にもお客さんにも(ボークだと)分からない。キレの悪い判定だったと思います。

 マツダスタジアム2年目の今季は、187万人超の球団新録をつくった昨季には及ばないものの、主催試合の観客動員数はすでに150万人を突破。2年連続150万人突破は、球団史上初の快挙だ。この日も、2日まで優勝争いしていた阪神が相手ということもあり、今季の1試合平均動員数より多い2万8000人以上の観客がつめかけた。5位が確定した広島にとって、この日の試合は消化試合の1つだが、常々「お客さんに喜んでもらえるような試合を」と話す指揮官には消化試合などない。

 ジオが5回に崩れ、守備にミスも出た。救援陣も失点を重ねて大敗し、連勝も止まったが、全力で戦い、必死に抗議した。3日は、今季本拠地最終戦。カープファンへ、野村カープの全力プレーを見せて締めくくる。

 [2010年10月3日11時41分

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