日本ハムが、今季で2年契約が満了する稲葉篤紀外野手(38)へ今オフ、複数年契約を提示することが2日、分かった。来季は球団が、契約するか否かの選択権がある契約を結んでいたが、残り158本に迫った2000本安打を確実に達成するためには2年が最適と判断。後押しするために、40歳まで現役を確約する契約を結び直す見込みだ。若手主体のチーム編成が基本方針だけに、稲葉の悲願のために異例の環境整備をする。

 稲葉が最大限のバックアップを受け、大目標へと挑む態勢が整うことになった。2年契約の最終年を迎えた今オフの契約更改交渉で、2000本安打へ挑戦する厚待遇が用意されることになった。40歳まで現役を確約する、さらに2年の複数年契約の条件を提示。今季終了後に1842安打として目前に迫った大記録を、順調ならば達成可能な期間まで、ユニホームを着られることになる。

 強い思いを尊重しての判断になった。稲葉はかねて「2000本安打を目指して現役を続けていきたい」などと、名球会入りへの執念を見せていた。08年オフに2年契約を結んだ際、来季は球団に選択権があるオプションのシーズン。今季は5年ぶりに打率3割を切る2割8分7厘に終わったが、3番打者として打線をけん引。功績だけではなく、衰えを知らない実力も評価して、方向性を決めた。

 異例の措置になる。潤沢な資金がある一部球団と比較して、経営のスリム化を図りながら、チーム強化していくのが球団戦略。自然と若手主体のチーム編成となる中で、実績が突出しているとはいえ、破格ともいえる条件になる。稲葉の今季年俸はチームの野手トップの2億5000万円(推定)。金額面の多少の見直しはありそうだが複数年で、稲葉がすべてに納得する条件提示になりそうだ。

 今季は5年ぶりBクラスと低迷したが、北海道へ本拠地移転後から1度の日本一を含む3度のパ・リーグ制覇に貢献。引退まで、日本ハムで骨をうずめる覚悟を決めており、その思いに球団も応える形になりそう。今季152安打を放ち、単年契約でも達成可能な域にいるが、確実に節目へ到達してもらうための万策。稲葉が16年目の来季以降へ、大きなモチベーションを得て臨むことになる。

 [2010年10月3日9時51分

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