来季楽天監督の就任が決定的な星野仙一氏(63)が、阪神球団に最大限の配慮を持って仙台に乗り込むことが20日、分かった。阪神監督として2年間、オーナー付シニアディレクター(SD)として7年間強化に尽力してきた。タテジマには現役、OB問わず厚い信頼を置く人材が複数いるが、引き抜きなどによる不具合を阪神にかけたくない意向があり、伴っての入団は原則ないという。懐刀を引き連れず、潔くスタートを切る。

 阪神時代の9年間で培った深い人脈に頼らず、星野氏が未開の地に乗り込む。手塩にかけて鍛えた弟子、苦楽を共にしてきたブレーン。強化を図る上で、チームを率いていく上で、間違いなくプラスに働く人材がいる。だが、星野氏には、自身の去就で阪神に迷惑を掛けることは避けたい、という思いがあるという。19日、愛情と感謝の意をぎっしりと詰めた会見で虎に別れを告げた。潔く。闘将らしい判断があった。

 楽天側が準備を進める来季スタッフと補強プランに、星野氏の哲学がにじんでいる。1軍は現在、4人のコーチで協力し秋季練習を行っている。教育リーグで指導を行っている2軍コーチ陣を含め原則留任する。

 来季組閣はほぼ完了しているとみられる。ともに中日OBの仁村薫氏(51)関川浩一氏(41)種田仁氏(39)に対し、スケジュール確認などを行っている。引退した小坂誠氏(37)に指導者の打診を済ませた。ヘッド格での入閣が有力視される田淵幸一氏(64)は現在、阪神OB会長の要職に就いているが、現場には直接携っていない。補強については、今季国内FA権を取得したオリックス後藤を最優先にリストアップ。動向を注視している。ともに戦う可能性がある候補者として名前が挙がる中に、阪神現場にかかわりの深い人物がいない。

 11月1日、Kスタ宮城で第2次の秋季練習が始まる。ここに全スタッフが集う予定だ。タテジマからクリムゾンレッドへ。真っさらな船出を決める。

 [2010年10月21日9時34分

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