オリックス捕手陣に8日、「パス」禁止の珍指令が出た。聞き慣れない指示の主は新任の山田勝彦バッテリーコーチ(41)だ。「パス、パスはだめ。サッカーじゃないんだから」。ピッチングマシン相手のキャッチング練習中に大声で指示した。もちろんサッカーのパスではなく、擬音のこと。キャッチャーミットの芯を外して球を受けた際に出る「パスッ」という頼りない音を指していた。

 秋季キャンプでは正確な捕球もテーマの1つ。ブルペン投球でもミットの芯で正確に受ければ快音が響き、投手陣の気分を乗せていける。もちろん、送球動作にも入りやすい。3年目の伊藤は居残りで練習。「体の左側の球を正確に捕ることを意識しています」。マシンを左投手のスライダーに設定して重点的に受けていた。

 「(捕手陣が)おとなしめで、いい意味でまじめ。もっと監督にアピールしないといけないし、声を出そうと言っている。まだおれの方が声出てるよ。どんどん(投手を)盛り上げないと」。山田コーチは枯れ気味の声ではっぱをかける。ブルペンはミットの快音と捕手陣の声で日増しに音量アップ。「投げられる元気なヤツが多いからな」。岡田監督の笑顔も絶えなかった。【押谷謙爾】

 [2010年11月9日10時57分

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