阪神が楽天からFA宣言した藤井彰人捕手(34)と18日、大阪市内で第1回獲得交渉を行うことが16日、分かった。沼沢正二球団本部長(52)もしくは黒田正宏編成部長(62)が出馬。交渉解禁即日のアタックで誠意を示し、一気に虎の藤井誕生にこぎ着けたい構え。左ひざ手術で城島の来季開幕戦出場が絶望的となった今、藤井獲りの行方に大注目だ。

 阪神が恋人の獲得へ、まずはスピードで誠意を示す。楽天からFA宣言した藤井の獲得に向け、18日に第1回交渉を持つことが分かった。その日はまさにFA選手との交渉が解禁となる初日。必要選手であることを訴えるには、これ以上ない絶好のタイミングと判断したようだ。場所は大阪市内の高級ホテルが有力。電撃アタックで一気に口説き落とす作戦に出る。

 当日はMVPやベストナインの表彰など、コンベンションが東京都内で開催される。プロ野球界の一大イベントであり、阪神球団首脳も参加することから、回避する可能性も考えられた。だが1日遅れでは誠意の価値も下がる。多忙なスケジュールの合間を縫って、交渉時間を設定。真弓監督の出席は見送られる見込みだが、沼沢球団本部長、もしくは黒田編成部長が出馬して、熱いラブコールを送ることになった。

 阪神球団も水面下の調査では好感触をつかんでいる。球団首脳は「うちに来てくれるように、全力を尽くしたい」とコメント。獲得へ一定の手応えを口にした。現時点で、藤井獲得に名乗りを上げている球団は見当たらない。一本釣りできる可能性も高まってきた。

 もちろん今後、他球団が触手を伸ばさないとも限らない。争奪戦に発展する可能性も踏まえ、球団は誠意として3年推定総額2億5000万円を準備。大阪出身の藤井に満員の甲子園でのプレーする魅力を口説き文句にプッシュ、プッシュで押しまくる。狙いは18日の交渉当日、一気の合意にこぎ着けることだ。

 左ひざを手術した城島が開幕絶望となった今、代役捕手の獲得は急務の課題。08年に岩隈とベストバッテリー賞を獲得するなど、強肩堅守が売りの藤井はうってつけの存在だ。今季は嶋の台頭で出場は8試合だったが、阪神は能力を高く評価している。近鉄コーチ時代、5年間指導した真弓監督は、誰よりもその力量を熟知。城島に代わる捕手の条件に「守り重視」を掲げる指揮官のGOサインが、今回の藤井獲りを後押しする形となったようだ。

 虎の藤井誕生へ、障害は見当たらない。18日にも大筋合意を得られる可能性は十分ある。12日に城島の来季開幕絶望が発表されてからわずか1週間足らず。電光石火の早業で、緊急補強の成功を目指す。

 [2010年11月17日11時30分

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