日本ハムからドラフト1位指名された早大・斎藤佑樹投手(22=早実)が「ハンカチ・ポリス」になる可能性があることが23日、分かった。2軍施設のある千葉・鎌ケ谷の鎌ケ谷署が非公式ながら、球団側へ協力を打診。千葉県は10月末時点でひったくり件数が全国ワーストとなっていることから、防犯キャンペーンなどの一環。仮契約前ながら、早くも球界外からのサプライズ・オファーの第1弾が届いた。登録名は「佑樹」などではなく、ノーマルで勝負する。

 甘いルックスとさわやかな言動で女性のハートを盗んできた斎藤が、今度は犯罪を防ぐ側に回る。防犯対策のイメージキャラクターとして、ポスターなどに起用するプランが浮上した。打診を受けた2軍関係者は「全国ワーストは、何とかして脱したいということなんです。斎藤くんはさわやかなイメージもありますからね」と期待している。

 発端はひったくり事件の急増にあった。ひったくり件数は、昨年まで34年連続で大阪府が全国ワーストだったが、今年は10月末の時点で千葉県がワースト。中でも日本ハムの2軍施設がある鎌ケ谷が多いという。

 そこで鎌ケ谷署は、犯罪撲滅運動を強化する上で、同市に2軍施設を持つ日本ハムへ協力を要請した。狙うのは、人気、知名度、話題性ともに申し分ない大物ルーキー斎藤。東京6大学秋季リーグで優勝を決めた際に「『斎藤は何か持っている』と言われてきました。今日、何を持っているのか確信しました。それは仲間です」と、人々を感動させる名言を残したことは記憶に新しい。今や発した言葉、一挙手一投足の影響力は絶大で、防犯運動のイメージキャラクターには最適。すでに非公式ながら球団への打診も行っている。まだ契約を結んでいない選手へのオファーは異例中の異例だ。

 1軍の本拠地こそ札幌にあるが、鎌ケ谷にはプロ第1歩をスタートさせる合宿所「勇翔寮」があり、日本ハムの新人は必ず1度、鎌ケ谷に住民票を移す。地域社会との共生を掲げる球団としても、地元の不名誉な記録は見過ごすことはできない。「もちろん何かできれば」(球団関係者)と協力は惜しまないつもりだ。

 まずは来月10日に球団マスコットの「カビー」が、同署の1日署長に就任することが決定。球団と地元警察との防犯強化策が本格的にスタートするが、来年の入団、入寮を待って、斎藤の“登板”も検討されており、実現すれば選手としては初。マウンドではクイックモーションで盗塁を阻止する斎藤が、防犯の顔となり、街ではカバンを盗ませない。【本間翼】

 [2010年11月24日11時0分

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