野手並みに頼むで!

 阪神久保田智之投手(29)と、能見篤史投手(31)が13日、契約交渉で徹底的に闘う姿勢を明確にした。今オフ野手陣は鳥谷、平野など大幅アップが続く。久保田は今季チーム最多の71試合登板を材料に「働いたときは言っていきます」。すでに保留している能見も引く構えはなく、虎投が地位向上にスクラムを組む。

 投手と野手、トラの契約交渉でなぜか目立つ格差是正に立ち上がる。久保田が投手陣を代表して年俸回復に徹底抗戦する。

 久保田

 下がるときは、すぐにはんこ押しますけど、働いたときは言います。元に戻してほしいです。

 ゴネる…いや、戦う材料はそろっている。今季チームトップの71試合に登板。防御率の3・20は、前半戦の不調が響いたもの。後半戦は150キロを超える直球が復活気配で、登板時に起きていたブーイングも、結果で歓声に変えてみせた。狙うは、1年前にダウンした3300万を取り返しての1億1000万円だ。

 うらやむわけではないが、野手陣の大幅アップが目につく。鳥谷が初の3割に到達し、1億円アップの2億6000万円で更改。3割5分を打った平野は倍増の1億6000万円で更改とまさに暖冬傾向にある。

 ここ2年はダウン提示に潔く一発サインした。ただ日本記録の90試合に登板した07年のオフは越年し、2月までの決着もできずに自費キャンプに突入。粘りに粘った実績がある。プロ8年間で通算400試合に登板した功労者。3年ぶりに闘う資格を得て、舌ぽうは鋭い。

 久保田

 昔からそうですけどね。毎年(投手の評価の仕方について)言っていますけど、どこまで伝わっているかは、分からない。査定方法は、良くはなっていると思うけど、結局はイメージが大きい。中継ぎは、いいイメージがつきにくい。

 投手のイメージアップは、独りよがりの主張ではない。左腕エース格に成長した能見も呼応するように、銭闘態勢を固めた。3日の第1回交渉では、500万円増の5500万円提示を保留した。1時間20分の交渉は、試合中の右足甲骨折の扱い方に終始した。4カ月のブランクがあったとはいえ、優勝争いの佳境で8勝0敗の数字を残した事実は揺るがない。

 能見

 来年に向けて、やるぞという気持ちにね…、持って行けたら。悔しい気持ちもありますから。

 今季チームトップの14勝を挙げた久保もすでに「銭闘宣言」済み。野手の未更改選手は桧山1人だけだが、投手は藤川、安藤、下柳を含め6人が残る。せちがらい年の瀬、生活を懸けた虎投の闘いがヒートアップしてきた。

 [2010年12月14日10時47分

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