阪神がドラフト2位一二三慎太投手(18=東海大相模)に英才教育を施し、新人王を導く。中西清起2軍投手コーチ(48)が19日、明言した。高卒新人で今季4勝した秋山拓巳投手(19)の育成法を踏襲し、プロレスの長州力&藤波辰巳のようなライバル関係を築くべく、同4位の岩本輝投手(18=南陽工)を好敵手に指名。金の卵に新人王プロジェクトを発動する。

 一二三に新人王プロジェクトが用意された。秋山方式+長州藤波方式の二段重ねだ。2月安芸キャンプから指導に当たる中西2軍投手コーチが、育成プランを披露。入団会見で「新人王」とぶち上げた18歳の夢実現を強力にプッシュする。

 秋山方式<1>

 同じ高卒で4勝をマークした秋山が最高の教材だ。春のキャンプから1日最高60球の球数制限を徹底。徐々に球数を増やしたが、8月末に1軍昇格した際も100球以上投げさせたことはなかった。未完の肩や肘へのケアが、満を持したブレークの源。一二三にも当てはめる。

 中西コーチ

 体力的なこともあるからね。中6日で2回使ったら(登板を)2週間開けるとかもやった。秋山と同様に球数制限を考えている。

 秋山方式<2>

 フォームもほとんどいじらない。秋山に教えたのもひざの使い方と前さばき(腕の使い方)の2点だけだった。短所矯正ではなく、長所伸長を最優先する。一二三は5月末からサイドに転向。球団は上手に戻さず、サイドで大成させる方針を確認済みだ。

 中西コーチ

 詰め込みはよくない。(投げ方を)大幅に変えても故障につながる。横でも145、6キロだから打者はかなり速く感じてるはず。楽しみだね。

 長州藤波方式

 プロレス界でしのぎを削った長州と藤波のように、ライバルとの切磋琢磨(せっさたくま)が成長の力になる。今季の高卒新人投手は秋山1人だったが、一二三には同じ右腕のドラフト4位岩本がいる。最速144キロの「津田2世」は理想の好敵手。新人合同自主トレで体力をチェックした後、問題なければキャンプから同じメニューで競わせる。

 中西コーチ

 (2軍戦で)一二三が先発で3イニング投げたら、その後の3イニングは岩本。その反対とかね。同じ日に投げさせたりして、ゲームではどんどん使いたい。投げないと練習にならないからね。

 秋山を手本に、秋山以上の英才教育が待ち受ける。そして秋山以上の成績で、球団史上初の高卒新人王へ。一二三の大化けは約束された。【松井清員】

 [2010年12月20日11時0分

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