聖なる夜に1軍定着の誓いだ。中日から阪神へのトレードが決まった新井良太内野手(27)が尊敬する中日井端弘和内野手(35)と2人きりで滋賀でのイベントに1泊2日で参加。濃密なクリスマスの2日間を過ごし、新たな旅立ちを決意した。中日落合博満監督(57)からも、実兄とアニキ金本のもとで開花しろ-と「贈る言葉」をもらった。

 世界中でクリスマスソングが響き、恋人たちが愛を確かめ合ったイブの夜に、誰よりもハートを熱くしている男が滋賀にいた。

 琵琶湖が見下ろせるホテル。新井良は心地よい緊張感を味わいながら、心底慕ってきた井端といくつもの言葉をかわした。

 「イブからクリスマスにかけて、井端さんと過ごせました。一生忘れないクリスマスになりました。ドラゴンズでは野球でもプライベートでも一番、お世話になった人ですので…」

 新井良が感動のラストナイトを夢心地で振り返った。井端も思い返す。「プライベートでもよくさせてもらった。昨日もいろいろ…ね。新井サンと最後の思い出ができました。阪神に染まらなければ、これからも変わらず付き合ってほしいですね(笑)。個人的にはすごく頑張ってほしい」。熱いエールを聞いた弟分は照れ笑いを浮かべた。

 この日は滋賀・草津市の立命大キャンパスで、選手会と同大の企画によるイベントに2人きりで参加した。早朝開始のため前泊で現地入りしたというわけ。井端が若手に参加を募ったところ手を挙げたのが新井良だった。

 打撃フォームの動作解析では一流のすごさを再確認してうっとり。「体全体を使って、こう体をねじって…。勉強になります。最高のお手本を見られてよかった」。一方、自分のフォームは井端に「いいんだけど…何で打てないんでしょう」と、おちょくられた。トークショーでは息のあった掛け合いを繰り広げた。

 5年間親しんだ中日のユニホームはこの日が最後。特別な日が最高のシチュエーションになった。プロ入り当時から何度も食事に誘ってくれ、グラウンド内外で助言をくれた先輩には感謝の言葉しかない。恩返しの方法はただ1つだ。

 「井端さんとは実績も立場も全然違う。一緒の舞台で1年間戦えるように頑張るだけです。遠くに飛ばす、強く振れるところを求められていると思うし、突き詰めていきたい」

 阪神にはアマ時代からあこがれ、目標にしてきた2人の「アニキ」が待つ。2010年のクリスマスのぬくもりを胸に、新井良は新たな恋、いや、戦いの舞台に飛び出す。

 [2010年12月26日10時55分

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