佑ちゃんが「いじられ」て船出した。日本ハムのドラフト1位斎藤佑樹投手(22=早大)が1日、沖縄・名護で初のキャンプインを迎えた。エースのダルビッシュ有投手(24)から800人の観衆の前で標的にされ、からかわれまくり、陰では心温まる助言を受けるなどの熱烈サポートを受けた。今日2日にはブルペン入りする予定。新たなステージが、大きな後押しを受けて幕を開けた。

 佑ちゃんが巨大な存在におびえ?

 守られながら第1歩を刻んだ。上空にはテレビ中継用のヘリコプターが舞い、詰め掛けた観衆800人、節目の一挙手一投足を追う報道陣は56社423人。物々しいムードの中で二人三脚を組んだのは、憧れていたダルビッシュ。「予想していた通りなんですけど、和気あいあいとしてやりやすいなという感じ」。そんな充実の初日を、プレゼントされた。

 想定以上の急接近だ。グループが別だったダルビッシュから、守備練習など同じメニューを消化中に標的にされた。絡まれまくった。まずウオーミングアップ中に1発目。ファンを指さしたエースから「新人は毎年、ここであいさつする」と、ウソの慣例を教えられた。練習最後の会見では「爆弾発言してこい!」と、無理難題まで押しつけられた。

 ダルビッシュの「親心」だった。普通の新人のように「いじられ役」にされたことで、地に足が着いた。この日はホーム用のユニホームの、お披露目の日。PRのために可能な限り着用を義務付けられていたが、理解しきれず練習用に着替えてしまうミス。ダルビッシュから「それ、罰金な」と目ざとく注意され、投手用の控室が和んだという。昨年10月のドラフト直後にプライベートで対面したが、グラウンドでは初めて。斎藤は「憧れていた投手の1人ですし、一緒にやれたことはうれしい」と感謝の嵐だった。

 まじめなレクチャーも受けていた。ウエートトレーニングでは、ダルビッシュからの助言を熱心に耳を傾けていたという。この日はブルペン入りせず、初の技術指導はお預け。ただ今後、エース右腕の手ほどきを受ける機会がありそうな、距離感ができた。

 正統派の佑ちゃんをいじりまくったエースは「裏の顔を見ようと思って…。(聞けた内容は)それは言えないッスよ。フッ、フッ、フッ…。いろいろ見てから、どんどんいじりたい」と不敵に笑う。さらに続けた。「人間の質は違うけれど、似ている部分もあるなあ、と思った。表の顔はみんな知っているんで、あとは裏の顔…。(今日の手応えと聞かれて)はい!

 それは言えません」。

 極度の人見知りでやんちゃな大黒柱を、斎藤は1日で、強力な「仲間」の1人へ引き込んだ。もちろん、オーラを「感じました」と、ダルビッシュから触発された部分も大きい。今日2日は注目の初のブルペン投球へ向かう。【高山通史】

 [2011年2月2日9時10分

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