巨人のドラフト1位ルーキー沢村拓一投手(22=中大)が15日の紅白戦で実戦デビューすることが4日、有力となった。川口和久投手総合コーチ(51)が示唆した。1軍練習オフのこの日は、昨年口蹄(こうてい)疫で苦しんだ宮崎県の畜産農家を訪れた。子牛にミルクをあげたりするなど飼育を体験すると同時に、畜産農家を勇気づけるべく肉好きをアピールした。身内相手の実戦デビューでは“肉食系”らしく、先輩相手にガツガツいく。

 剛腕がついにプロの打者と対戦する。3日のフリー打撃で小野、星野、野間口、須永、朝井、金刃の6人が登板。紅白戦の初戦(13日)にこのメンバーを中心に登板させるかと聞かれた川口投手総合コーチは「順当にいけばそうなるでしょうね」と話した。キャンプイン前日(1月31日)には、沢村の初登板に関し「順調に行けば、紅白戦の初戦か2戦目(15日)ですよ」と話していた。となれば、実戦デビューは2戦目が有力。同コーチは「勝手に想像してください」とニヤッと笑いながら言った。

 宮崎キャンプ第2クール2日目の明日6日にはフリー打撃登板も予定。沢村は「ブルペンでよくてもバッターが立ってよくなかったら話にならない。実戦感覚をつけていかないと」と、打者を想定して投げることも考えている。キャンプ初日のブルペンではクセが発覚したが、小谷2軍投手コーチは「誰にでもあるもの。いい投手はそれを逆手にもとれる。クセが出ることを恐れるよりも、実戦感覚が大事なんだ」と話す。沢村の考え方はベテランコーチの発想とも合致する。

 キャンプ初めてのオフは、昨年口蹄疫問題で苦しんだ宮崎市内の畜産農家を訪問。子牛にミルクを与えたり、800キロ超の巨体の牛をブラッシングするなど、飼育を実体験し「野球で宮崎の皆さんに勇気を与えられるように頑張りたい」と活躍を誓った。初めてステーキも焼いた。好きな食べ物は「肉です。牛、豚、鳥全部好きですね」と力強く答えた。まさに“肉食系”だ。

 弱肉強食のプロの世界に飛び込み、競争となれば先輩も後輩も関係ない。33歳でプロ12年目の藤井も「沢村が入ってみんな刺激を受けている」と話す。普段は謙虚でかわいがられるが、試合では肉食系になって先輩投手陣や打席に立つ先輩打者との争いに勝たなければならない。まずは紅白戦で結果を出すことだが、「川口さんに焦るなと言われてるし、調整はマイペースでやりたい」と自分のスタイルは崩さない。虎視眈々(たんたん)と開幕ローテーションを狙いにいく。【斎藤庸裕】

 [2011年2月5日9時9分

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