遼くんサンキュー。阪神桧山進次郎外野手(41)が8日、フリー打撃で今キャンプ初の柵越えを3本放った。1月のグアム自主トレからゴルフ石川遼と同じ筋力強化法を導入したことが判明。「遼くん打法」が、飛ばないとされる統一球を克服した。「代打の神様」は阪神ひと筋20年目にまた若返りを図った。

 力を込めたスイングで、美しい放物線を描いた。左の打撃投手を相手にした7スイング目。41歳のベテランが右翼ポール際に今キャンプ初の柵越え。続けざまに15振目は同じく右翼に、18振目は右中間に飛距離十分の豪快アーチをかけた。

 桧山

 今日はまあまあよかった。最後にバテたけどね。バットでボールを上からつぶすというかね。

 「神様」も納得の表情だ。5日から屋外フリー打撃を開始して、当初は飛ばない統一球に大苦戦。ただ高い技術でしっかりアジャスト。ボールの下を打ちバックスピンをかける滞空時間の長いアーチを連発した。

 「遼くん打法」でアンチエージングに成功した。桧山はゴルフ石川遼と同じ仲田健トレーナー(41=写真)に師事。今年1月のグアム自主トレから遼くんと同じ「回転トレーニング」を導入した。

 バーベルやダンベルを使ったウエートトレーニングで、通常の直線的な動きではなく円を描くような回転動作を組み込むもの。ストイックに筋肉を強化するのではなく、さまざまな角度から刺激を与えてしなやかに鍛えるイメージだ。

 仲田トレーナー

 ウエートトレーニングは競技性に合わせた筋力の刺激が必要。ゴルフは体を回転させてボールを打つ。野球も直球、カーブ、フォークと体の軸や回転は一定ではない。動きの中で力を出すために一方向ではなく、いろんな方向から筋肉を刺激する。

 本家の遼くんは「回転トレ」を昨年から採用。日本ツアーの平均飛距離は09年の292・37ヤード(ランク9位)→10年の296・79ヤード(同3位)にアップした。世界の舞台で戦う遼くんのエキスを取り入れれば、神様の威光はより輝きを増すに違いない。

 桧山

 ウエートをする時も、いかに実戦に近づけてやれるかが大事。単純にウエートリフティング(重量挙げ)をやっているわけじゃない。

 加齢とともにやっかいな敵になりそうな統一球にも、パワーアップした肉体で立ち向かう。新しい知識や練習を積極的に取り入れる向上心が支え。阪神ひと筋20年は遠井吾郎(58~77年)の最長記録に並ぶ。ただ桧山は「最後はやっぱり優勝しないと」と言う。進化するベテランがナイスショットでかっ飛ばす。【益田一弘】

 [2011年2月9日11時6分

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