広島のクリーンアップ候補岩本貴裕外野手(24)が今季初の対外試合となった12日の日本ハムとの練習試合で“今季1号”を放った。2発打った日本ハム中田翔内野手(21)に負けじと9回に豪快な1発。4回にも適時三塁打を打ち、5-10と大敗した中でキラリと光った。

 目の覚めるような1発が、一直線に右翼席に飛び込んだ。曇天に強風が吹く寒さと、投手陣の大量失点でしらけたムードを、岩本が振り払った。

 9回1死、日本ハム中村の投じたストレートを完璧にとらえた。逆風を切り裂く弾丸…いや「ガン弾」だ。今季初の対外試合で日本ハム中田と松坂に2発ずつアーチを浴びたが、最後に見せ場をつくった。

 岩本

 最後まで集中して悔いを残さないようにと思っていた。感触は良かったです。打った瞬間(手応えが)あった。1本出たのはいいことです。

 8番左翼でフル出場。4回には右中間に適時三塁打も放った。4打数2安打2打点の活躍だ。野村監督も「素晴らしいバッティングだった。内角の難しいボールだったけど、うまく体を回転させて打った。点差や状況に関係なく、自分の打撃ができていたと思う」と絶賛した。

 今キャンプのテーマ「下半身の強化」が実った1発だった。昨秋のキャンプで、今季から導入される統一球を打った。「入ったという感覚の打球でも入らなかった。シンでしっかりとらえて、下半身を使って打たないといけない」と“飛ばない球”を実感した。

 パワーアップのため、オフはジムに通いトレーニングに励んだ。先乗りした沖縄自主トレでは徹底的に走り込み、振り込んでもきた。その成果に手応えもつかんでいる。

 岩本

 昨年より下半身(の強化)を意識しながらやってきて、秋のキャンプよりも飛距離が出ているのではと思います。

 長距離打者が少ない広島にあって、昨季61試合で14発を放った岩本はクリーンアップ候補の1人。だがレギュラーを約束されているわけではない。外野の定位置争いは激しく、一塁には主砲栗原がいる。結果を残さないとチャンスはもらえない。それは肌で感じている。オフには「まずは試合に出ることです」と繰り返した。実戦で首脳陣をうならせる1発を打ち、レギュラーの座を確かなものにする。【高垣

 誠】

 [2011年2月13日10時20分

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