広島ドラフト1位の福井優也投手(23=早大)が21日、日南・天福球場で今キャンプ初めて打撃投手を務め、会沢、堂林らに31球を投げ、安打性3本に抑えた。視察した広瀬叔功氏(74=日刊スポーツ評論家)は、打者の手元で伸びる球筋を「バランスもいい。桑田みたいな感じ」と絶賛した。

 打撃ケージ裏の最前列で福井の投球を見守った広瀬氏は何度もうならされた。目玉ルーキーが打撃投手に登板。プロ入り初めて打者と向き合い、どのようなマウンドさばきを見せるか注目が集まったが完成度の高い投球に思わず見入った。

 広瀬氏

 最近の新人は、いいなと思うのがほとんどいなかったんだ。久しぶりにいい新人を見た。早稲田の3番手の投手だと聞いていたけど印象は一変した。あんなにいい投手だと思わなかった。感心したよ。

 現役時代に通算2157安打を放って南海の一時代を築き、名球会メンバーでもある同氏の視線は1球ごとに鋭くなった。すべてストレートで31球。球筋、制球力、動きのバランス…。同氏が何度も強調したのは質の高い球のキレだった。

 広瀬氏

 しっかりウエートが乗って、球がビュッと来る。キレの良さはカープの1軍投手陣でもトップクラスじゃないかな?

 投手は本塁上を通る球が勝負だけど、打者の手もとで伸びていた。いまの時期に、あの球は素晴らしい。変化球次第だけど、変化球が良ければ、先発ローテーションに入る力もある。速い球と変化球のコンビネーションがあれば、十分に使える。

 打者に打たせる意図が強いフリー打撃の登板だったが、打ち損じた飛球が7度もあった。打者が思い描く以上に球が伸びるから、戸惑いも生じる。27日まで行われる日南キャンプ中に、変化球も交えた実戦形式の登板をもう1度こなし、順調なら3月に実戦に入る。

 広瀬氏

 外角低めだな。ここに来る球がギュッと来るんだ。投手にとって一番大切なコース。どう体を使えば、どこに行くか分かっているのだろう。体の切れもいいし、フォームのバランスもいい。無駄がないね。稲尾(元西鉄)とはちょっと違う…。桑田(元巨人)みたいな感じかな。頭も良さそうだからね。

 沖縄キャンプ序盤に右足太もも裏の張りが生じて出遅れたが、日南に入ってからは調整ペースも上がってきた。快調に飛ばしてきた早大同期の日本ハム斎藤、西武大石に隠れて目立たなかったが、地道に練習を重ねて、状態は上昇カーブを描く。収穫たっぷりの初フリー登板だった。【酒井俊作】

 [2011年2月22日10時17分

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