11日午後2時46分、三陸沖を震源とするマグニチュード8・8の大地震が、プロ野球楽天の本拠地である仙台市を直撃した。クリネックススタジアム宮城のある宮城野区は震度6強。残留選手、球団職員など約80人が一斉に避難し無事だった。1軍本隊は兵庫・明石市でロッテとオープン戦の最中だったが、8回表終了時に選手、関係者が家族らの安否確認を行うため中止となった。試合後新幹線で横浜へ移動する予定だったが変更し、1度神戸市内の宿舎へ戻り、家族らと連絡を取る作業を優先した。12日以降の動静は被害状況などを確認してから決める。

 残留者がKスタ宮城で練習を行っていた最中、午後2時46分だった。足もとがふらつく若手を、コーチが「どうした、しっかり」と心配した矢先だった。振動が徐々に大きくなり立っていられなくなった。シャワーを浴びていた選手が上半身裸のまま飛び出してきた。職員も大慌てで階段を駆け降りた。球場の時計は午後2時48分を示したまま止まった。

 楽天の本拠地を襲ったのは震度6強の揺れだった。余震が続く中、選手、スタッフ、職員の総勢約80人が広い駐車場に集まり、点呼で無事を確認した。避難の最中につまずき、足に軽い切り傷を負った職員はいたが、大事には至らなかった。球場周辺の道路は信号機が停止したが、選手は安全を確認しながら、順次自宅へ戻り家族らの元へ向かった。職員は施設内へ立ち入ることを避けた。ヘルメットをかぶり、駐車場にテントを張って作業を行った。

 25日はロッテとのシーズン開幕戦が行われる。球場自体の損壊は確認されなかったが、球団事務所の階段にはヒビが入り、レンガが欠落した部分もあった。球団職員は「保守点検を徹底的に行わないと」と険しい顔で話した。

 その頃、チームは兵庫・明石市でロッテとのオープン戦を行っていた。7回表終了時に地震が発生。米田代表が審判団と協議し、携帯電話使用の許可をもらった。1度は試合続行としたが被害が甚大であることを受け再度協議し、8回表終了時点でコールドゲームとなった。

 星野監督は「とにかく心配だ。みんな、気が気じゃない様子だった」と述べた。仙台で調整中だった牧田は「足の震えが止まりません。地球が壊れるかと思いました。家族がとにかく心配で」とこわばった顔。小山は「みんな大丈夫でしたが家の中が散乱し、メチャクチャな状態」。嶋も「家族は大丈夫ですが、被害が広がっているようですね。心配です」と口をそろえた。その後、午後7時30分すぎ、全選手、家族の安全が確認された。芦屋市内の宿舎で会見した池田副社長は「球場周辺は停電しており、雪も降っている。津波の心配もある。人命を最優先させるため、球場の被害状況などの確認は行っていない」と状況説明した。

 登板予定のなかった岩隈、田中、永井らは、新幹線で一足早く横浜へ移動中だった。新幹線はストップしたが全員無事で、名古屋でとどまることになった。チームは12日、新幹線で関東に移動する。試合中止となった2日間を休日扱いとし、仙台への一時帰宅を認める。14日に横浜スタジアムで練習を行う予定でいる。