<オリックス2-8日本ハム>◇19日◇ほっともっと神戸

 パ・リーグを代表する投手が、今季初勝利を挙げた。12日の開幕戦で7失点の日本ハム・ダルビッシュ有投手(24)は8回1失点でしのいだ。

 ダルビッシュは時折、口を真一文字に結び、今季初白星をかみしめた。「今まで、何勝もしているんで。1つ1つ、これからもしっかり勝っていきたい」。8回を4安打1失点。先制点をもらった直後の1回裏に追いつかれたが、終わってみれば快投。チームを今季初の連勝、勝率5割の振り出しに戻してみせた。

 ちょうど1週間前の開幕戦は自身ワースト7失点。「コンディション的にも悪かった。低め、低めにいこうと心がけた」。2回以降はスローカーブを交ぜる割合を上げるなど思考を転換して、4回以降は無安打に抑えた。

 3月中旬、東日本大震災に義援金5000万円を寄託しても、思いが募っていた。そんなとき球団関係者から奥尻島への訪問を打診された。道内でのチャリティーの一環だった。同島は93年の「北海道南西沖地震」で、今回と同じように津波などの被害で多数の死者も出た。他都市と比べ、多額の義援金が集まらないような場所だが、復興した同島なら少額でも「そのお金には、ほかとは違うパワーが宿っているんじゃないか」という理由を聞いた。

 開幕前に1泊2日の強行軍になるが、すべてを理解した上で「自分で良ければ行きます」と快諾したという。チームのスケジュールの都合などもあり、最終的には実現はしなかったが、熱い思いを胸に今季に臨んでいた。

 ルーキー斎藤の初勝利から受けた勢いを連勝につなげた。「どの投手がどうとかではなく、みんなで勝っていきたい」。長く、重いシーズン。静かに1勝目を刻んだ。