<ヤクルト4-0巨人>◇28日◇静岡

 悔しさがにじみ出ていた。巨人沢村拓一投手(23)がプロ初黒星を喫した。7回1/3を投げ123球。魂のこもった投球も、8安打4失点で好調ヤクルト打線に打ち砕かれた。8回、打率リーグトップの宮本に4点目の適時打を浴びると、思わず右手で口をふさいだ。試合後、表情を変えることはなかったが、報道陣の質問に「次頑張ります」と、3度繰り返した。それほど悔しかったのだろう。顔には出さないが、負けず嫌いを感じさせるシンプルな言葉だった。

 投球前から様子がいつもと違った。マウンドの土を入念に掘るしぐさを繰り返した。スライダーは抜け、直球は高めに浮いた。先頭打者に四球、今季2つめのボークから先制点を与えた。5回の失点も自らのバント処理ミスから失ったもの。防げる失点だった。前日27日に2本塁打のバレンティンには6回、117キロの甘いカーブを完璧にとらえられ、左越えにプロ初被弾。原監督は「もう少し繊細さが必要だと勉強になったのではないか」と、今後の奮起に期待した。

 投手の責任だけとは決して言えない。3連戦での得点はわずかに2点。今季初の完封負けで2度目の3連敗。借金は2となった。77年前、故沢村栄治が日米野球でベーブ・ルースらを1失点に抑え込んだ静岡・草薙球場だったが、野球の神様はほほ笑まなかった。次回は5月5日の阪神戦(東京ドーム)での登板が予想される。「今日の負けは僕の責任です。次回の登板は勝ちます」と頼もしく話した。本拠地で本領を発揮するしかない。【斎藤庸裕】