<ヤクルト4-3中日>◇4日◇神宮

 打線は変えない!

 中日落合博満監督(57)が不動の姿勢を宣言した。ヤクルトの先発由規を打てず、昨季から同一カード8連敗、神宮では7連敗。5位に転落した。それでも指揮官はリーグ最低打率の打線について「変えたらこのチームは終わる」と当面、変更するつもりはないことを明かした。打線の潜在能力を信じるオレ流指揮官は144試合を見据え、我慢を貫く。

 開幕から何度、同じ光景を見ただろうか。あと1本が、あと1点が遠い。昨季からヤクルト戦8連敗、神宮7連敗。そして、由規に4連敗…。敗因は明確だ。リーグ最低打率の打線。いら立ちが頂点に達する中、最も頭を悩ませているであろう落合監督は、信念の言葉を口にした。

 「ゲームに出ているやつらがしっかりしてはじめて勝てる。ころっと変えられるような打線じゃない。周りは調子が悪ければ変えろって言うけど、変えたらこのチームは終わるよ。使い続けて(状態が)上がってくるのを待つしかない」。

 落合監督がひたすら待っている男たちは、この日も沈黙した。22打席連続無安打中の3番森野は初回、由規の変化球をとらえたが、打球は二塁正面。8回にもライナーが右翼正面をついた。「まったくだめというわけじゃないけど安打が出ていないという精神的な面もある」。兆しはあるが、結果が出ない。連続無安打は26打席に伸び、精神的にも追い込まれつつある。

 4番和田も深刻だ。2点を追う6回1死一、二塁、反撃には最高の場面で打席に立った。だが、由規の146キロ直球につまった打球は最悪の三ゴロ併殺となった。「今は目の前の試合をやっていくしかない」。いまだ打率1割台から抜け出せない昨季MVPは険しい表情で帰路についた。

 そして、最も心配なのが6番グスマンだ。最終回に1点差に迫る犠飛を打ち上げたが3打数無安打2三振。リーグ最低1割4分5厘の打率もさることながら、打席内容も期待が持てるものではなかった。普通であれば日本で実績のない新戦力に対し、我慢の限界を迎えてもおかしくはない。ただ、落合監督はあくまで不動を貫くつもりだ。

 「他にだれがいる?

 他のメンバーじゃもたない。相手が嫌がってくれない。(ヤクルトに)24負けても、よそで24勝てばいいんだ。144試合トータルで考えないとだめなんだよ」。

 指揮官は動きたい衝動をぐっとこらえ、打線の力を信じ、先を見据える。打線が、その期待に応える日はいつになるのだろうか。【鈴木忠平】