落合竜に試練の13連戦が課される-。10日、金沢で予定されていたヤクルト戦が雨天中止となった。予備日である10月13日に組み込まれることが濃厚で、これによって開幕延期による未消化分と合わせて10月4日から16日まで球団史上最長の13連戦となることが決定的。シーズン最後に過酷な長期連戦となるが、ベテランが多い主力選手たちは前向き。連覇へ向けてのラストスパートだと位置づけた。

 開幕前からチーム内で不安視されていたことが現実となる。朝から降り続いた雨の影響で金沢でのヤクルト戦は早々に中止が決定した。中止分は今カードの予備日である10月13日に組み込まれることが濃厚。10月はすでに4日広島戦から12日ヤクルト戦までの本拠地9連戦、中1日空けて、14日から敵地での巨人3連戦が予定されていたが「中1日」に今回のヤクルト戦が入ることで球団史上最長の13連戦となるのだ。さらに雨予報のきょう11日も中止となれば、10月13日がダブルヘッダーとなる可能性も出てくる。

 選手たちは昼すぎに金沢を離れ、きょう試合が予定されている富山市民球場で汗を流した。この日の中止の意味を知っている選手は多かった。「仕方ないですよ。僕たちが(開幕)延期を望んだわけですから。決められた通りにやるしかないです」。森野将彦選手会長(32)は苦笑いした。選手会の要望もあって、セ・パが足並みをそろえて4月12日開幕が実現した。その時点で、連戦は覚悟の上だったという。

 シーズン最後の連戦が連覇への正念場となる可能性は高い。昨季も阪神、巨人と最後までデッドヒートを繰り広げ、優勝が決まったのは残り1試合だった。今季も混戦が予想されるだけに13連戦の勝敗が成績を大きく左右しそうだ。乗り切るためには層の厚い投手陣、そして、タフなレギュラー陣の存在が不可欠。この日、落合監督は無言で球場を後にしたが、主力選手たちは過酷な連戦に前向きな姿勢を見せた。

 「ラストスパートですから頑張ります。ナゴヤドームで多くできるというのはうれしい」。昨季72試合に登板した不動のセットアッパー浅尾は、13試合中10試合が本拠地であるということを強調した。守護神・岩瀬も「体は1つしかないわけだから。なるようにしかならないよ」と腹をくくった。また、毎年、終盤戦では休養を挟まずに出場し続ける40歳・谷繁は13連戦と聞くと笑顔を見せて「やろうよ!」と宣言した。

 昨季、勝率7割以上を誇った本拠地中心の連戦は有利とも言える。一方で相手は苦手のヤクルトが4試合、宿敵巨人が6試合、開幕ダッシュしている広島が3試合。不安材料もある。自然現象が演出した13連戦がラストスパートの舞台となるのか、終戦の場となるのか。今年も最後まで目が離せない展開になりそうだ。【鈴木忠平】