<ソフトバンク7-1横浜>◇29日◇福岡ヤフードーム

 無敵のタカが8連勝で貯金を15に乗せた。パ・リーグと交流戦の首位を走るソフトバンクは横浜に7-1と快勝。9番細川亨捕手(31)が移籍後初本塁打を放つなど2安打3打点と大当たり。不振だった伏兵のバットからも快音が響き、2試合連続2ケタ安打で大勝。さらに死角がなくなった。

 とどめを刺したのは9番打者だった。2回先頭の細川が、横浜先発ハミルトンのど真ん中の変化球をフルスイングする。打球は左翼席へ飛び込んだ。無我夢中でダイヤモンドを一周した。ベンチで待っていたのは手荒い祝福。102キロの巨漢はハイタッチだけなく、後輩たちから膝蹴りやローキックなどを浴びせられて苦笑い。それでも、価値ある移籍後初アーチにほおを緩めた。

 「打った球種は分かりません。ぐしゃぐしゃとした感じの球。本当に打てて良かった。気持ち良かった。毎日、5点取ることを目指しているんで、5点目を取れて良かった」。

 無敵のチームをさらに勢いづかせる豪快アーチでリードを5点に広げる。3回2死二、三塁では2番手左腕の大原慎から右前へ2点適時打だ。今季3度目のお立ち台でも得意の津軽弁で締め大歓声を浴びた。

 「わっつど、けっぱって日本一になるじょ(ものすごく頑張って日本一になるぞ)」。

 強肩ときめ細かいリードを期待されて加入したが、開幕から打撃は絶不調だった。前日28日まで打率1割5分。秋山監督は「ああいうバッティングができるんだよ」とうれしそうだった。

 2月の宮崎キャンプ中に王球団会長から「ホームラン競争のつもりで打席に入るんだよ。そういう気持ちで打てばいいんだ」と言われた。細川は目からうろこが落ちたという。打席では練習通りに打てばいい。世界の王の言葉を胸に刻み、バットを振り続けた。王会長も「見事なホームラン。もっと積極的にいってほしい」とエールを送った。

 交流戦は引き分けをはさんで8連勝で負けなし。ため込んだ貯金は昨季最多に並ぶ15に達した。

 「すごく喜怒哀楽のあるチーム。チーム一体となっている。ベンチの雰囲気もすごくいい」。

 強力タカ打線にさらに死角がなくなった。まずは交流戦2年ぶり3度目の優勝に大前進。秋には連覇と日本一を果たし、喜びを爆発させるだけだ。【奈島宏樹】