<イースタン・リーグ:横浜4-2西武>◇9日◇横須賀

 あいつのためにも、再び1軍へはい上がる。西武菊池雄星投手(20)がイースタン・リーグ横浜戦で、花巻東高時代のチームメートだった佐藤涼平さん(20)が5日に亡くなってから初めての先発登板に臨んだ。5回にソロ本塁打を浴びるなど6回7安打3失点。最速145キロだった直球のムラなど課題を残し、敗戦投手となったが、変化球が切れて毎回の8三振を奪った。「誰よりも野球が好きなやつだった。涼平の分までと言っていいか分からないけど、頑張りたい」と話した。

 訃報を知った時には「あいつの顔を見るまで信じられない」と話し、6日に遺体と対面。しかし「いまだに信じられません」と心の整理はついていない。6月12日の1軍初登板翌日には一緒に食事。高校時代と変わらぬ、最高の仲間だった。なのに「何もしてあげられなかった」。深い感謝の思いは、後悔となって残っている。

 今できることは野球しかない。6月30日のプロ初勝利には、長文の祝福メールをくれたという佐藤さん。誰より活躍を楽しみにしてくれていた。1軍は13連戦の真っただ中。チャンスがないわけではない。1日も早く、手向けの勝利をささげる。【亀山泰宏】