【2008年1月14日の日刊スポーツ紙面から】

 早大・斎藤佑樹投手(1年=早実)が、あこがれの桑田から“生涯アドバイザー”を約束された。今夏の第90回全国高校野球選手権記念大会事業となる、スポーツ障害予防シンポジウム「熱投の秘密」が08年1月13日、選手、指導者計1269人を集めて大阪市内で行われた。斎藤はパイレーツとマイナー契約した桑田真澄投手(39)と初めて対面し「万里一空」と書かれた生涯初サインを受け取り「いつでも力になる」と頼もしい言葉を掛けられた。

 斎藤があこがれの桑田と初対面したのは、第1部開演直前の控室だった。174センチの桑田に対して、斎藤は175センチ。互いに投手としては小柄な体形で、甲子園で頂点に立つなど以前から共通点の多い桑田を目標の投手に挙げてきた。

 桑田

 もう少し大きいと思っていたら、僕とほとんど変わらない。アドバイスできる機会があれば、僕のやってきたことは参考になるんじゃないかな。彼のために力になれるのでは。要求されないかもしれないけど…、いつでも力になりたい。

 伝え聞いた斎藤は感激の表情を見せた。この日は互いに出番が違うため、ゆっくり話をする時間がなかった。「もし時間があれば聞きたいことはたくさんある。桑田さんが今までやってきたことを全部聞きたいくらい」と話す。桑田の講演は食い入るように見つめた。「技術はもちろんあるけど、最後はメンタルの部分だと。自分もそう思う」とあらためて心に刻んだ。

 桑田からはビッグなプレゼントも受け取った。「万里一空」と書かれた名前入りの直筆サイン。斎藤がサインをお願いしたのは、生涯初だという。「アメリカでも日本でも、空でつながっているという意味です」。斎藤もあこがれるメジャーリーグを目指す桑田とは、同じ空で結ばれている。東京6大学で戦うモチベーションを高めた。

 4季連続優勝を目指す早大の練習は20日から始まる。昨年12月16日の練習納め後も、年末には母校早実のキャンプに参加。高校生と一緒に汗を流し、原点に返った。昨年の同時期に比べて顔が引き締まり、臨戦態勢は整っている。今季は「日本のエース」として、7月の世界大学野球選手権(チェコ)で初の金メダル奪取の期待も掛かる。桑田との対面をステップに、飛躍の2年目に向かう。【前田祐輔】