<阪神3-1中日>◇9月30日◇甲子園

 横浜でツバメ軍団が苦杯をなめた夜、落合竜も同じく甲子園で天を仰いだ。今季4試合で防御率0・90の天敵岩田をまたも打てなかった。敗戦後、谷繁元信捕手(40)は悔しさをにじませながらも、潔く完敗を認めた。

 「やられましたね。それ以上でも、それ以下でもなく、やられました」

 先発ネルソンが4回に3点を先制され、苦手左腕との対戦は終始劣勢の展開となった。仮に「たら、れば」をもって悔いを振り返るなら、1-3で迎えた6回だったろう。2死満塁、打席には谷繁が入ったのだ。

 1リーグ時代に西沢が記録した球団記録にあと1と迫る10試合連続打点中。今、最も頼れる男に期待がかかった。だが、カウント2-2から内角ぎりぎりにきた140キロ直球に反応できなかった。腰を引いたが判定は無情にもストライク。外の攻防から、思い切って内を突いてきた相手バッテリーに百戦錬磨の谷繁も苦笑いで脱帽した。4打数無安打。連続試合打点が止まり、連続試合安打も11で途切れた。5番打者のストップとともにチームも止まった。

 またも岩田を打てなかった。名手、荒木と井端に失策も出た。結果、首位との3ゲーム差は動かず。ただ、落合監督は谷繁と同じく淡々と敗戦を振り返った。

 「こんなもんだろ。ミスとか、そんな問題じゃない。こういう日なんだ。(シーズン中に)いっぱいあるよ。こういう日もある」

 勝てば首位に2ゲーム差に迫ることができた。上を見ながらの戦いは、追う者の宿命だ。こんな日の敗戦は確かに痛い。ただ、谷繁も落合監督も、敗戦をすぐに過去へと切り捨て、次に目を向けた。長丁場の戦いを知り尽くす2人も納得の負け。そう思えば、痛い敗戦も“小休止”と考えられそうだ。【鈴木忠平】