プロ19年目の広島豊田清投手(40)が来季も現役を続行することが17日、分かった。15日に広島市内で鈴木球団本部長と話し合い、来年の契約更新を伝えられていた。22年目の前田智徳外野手(40)にもこの日、球団事務所で来季、契約更新する方針が正式に伝えられた。すでに23年目の石井琢朗内野手(41)も現役続行が決定。悲願のAクラスに向け、40代トリオがけん引する。

 来年も百戦錬磨のベテラン3人がカープを支える。前田智、石井に続き、40代トリオの豊田が現役を続行することが決まった。15日にマツダスタジアムで鈴木球団本部長と会談。広島2年目の来季も契約更新するスタンスが正式に伝えられていた。同本部長も「(前田智、石井の)3人と個別に話した。球団の考え方を伝えた」と明かす。9月末に右足内転筋を痛めて以降、2軍調整が続いていたが、この日からチーム本隊を離れて、来季への準備を始めることになった。

 豊田は、若手主体の投手陣で貴重なノウハウを伝授してきた。守護神として君臨した西武時代の02、03年にセーブ王に輝いた実績の持ち主だ。昨オフ、巨人を戦力外になったが、移籍1年目の今季、救援で32試合に登板。2勝1敗、防御率3・08の成績は、獲得当初に描いたフロント陣の期待を上回る活躍ぶりだった。

 通算157セーブの救援右腕への信頼は厚い。松田オーナーも「豊田ほど経験のある投手は、うちにいない」と評する。今年は開幕1軍メンバーに入ったが、不調のため、4月下旬に2軍降格。そこから、約2カ月半、前向きに耐えて投球動作などを試行錯誤した。7月上旬に1軍復帰後は必勝リレーの一翼を担った時期もあり、往年の球威こそ影を潜めたが、精度の高い制球力など力量を示した。

 大野投手チーフコーチも「若手にとっていい見本になった。今年はケガで終わったけど、しっかり治して来年また、同じポジションでやってほしい」と話す。10月上旬にはブルペン投球を再開して、1軍昇格を目指すなど、シーズン終盤でも意欲を失わず、情熱を燃やしてきた。若手投手を食事に連れ出すなど、一流の「考え方」も惜しみなく教える良き兄貴分だ。来年も今村や福井ら伸び盛りな若手の模範として貢献する。

 この日は前田智もスーツ姿でマツダスタジアムに現れ、松田オーナーからも来季の現役続行を強く要請された。石井も、広島市内の病院で右膝の内視鏡手術を受けるなど12年へのメンテナンスに入った。チームは今季、3年連続の5位に沈んだ。まだ成長途上の野村カープ。申し分のない実績を誇るベテラン3人の実力と知恵が来季への道筋を明るく照らす。【酒井俊作】