横浜の球団売却問題で、新たに買収へ向けて動き始めた地元関連企業の連合は、エネルギー関連企業のミツウロコ(本社=東京・千代田区)が軸となって進めていく方針であることが21日、分かった。既に現在の親会社TBSホールディングス(HD)と、ゲームサイト「Mobage(モバゲー)」の運営会社ディー・エヌ・エー(DeNA)の交渉は大詰めを迎えている。だが、京浜急行電鉄(本社=東京・港区)などと協力し、地元の声を後押しに交渉していく。この日は横浜商工会議所のトップからもラブコールが出た。

 ミツウロコは地元関連企業の代表として、今月上旬にTBSHDとの交渉を本格化させた。交渉の事実や内容を公表しないという秘密保持契約を結んでいることから「検討、交渉の事実はない」などと否定しているものの、今後も同社が交渉の中心となる方針は固まっている。

 球団を買収する際も、同社が球団株の過半数を保持して運営の責任を持つ計画だという。京浜急行はそれをサポートする形になる。また、京急は広く社名が知られ、市民、県民にもなじみが深いことから、地元連合の「顔役」になるとみられる。相模鉄道が入る可能性もある。

 今後ミツウロコによる交渉が本格化していくかは、DeNAの動向が大きく影響する。既にTBSHDとDeNAの交渉は大詰めを迎えており、今月末の正式合意を目指している。両者間での話し合いでは大きな問題はないとみられる。

 ただ、現在パ・リーグの複数球団が、DeNAの参入に対して反対の姿勢を持っている。理由は、長期保有への不安、ゲームの課金システムなどが青少年に悪影響を与えているという懸念、12球団で行っているゲーム会社へのライセンス業務への影響など。これに対し、TBSHD側は各球団に説明し、DeNA参入に理解を求めている。この説得が成功すれば、ミツウロコなど地元連合に出番はなさそう。最終的に各球団がDeNA参入をどう判断するかが焦点になる。

 地元連合にとっては地元からの声が最大の後押しになる。前日20日の林文子横浜市長に続き、この日は横浜商工会議所の佐々木謙二会頭(ニッパツ会長)が文書で歓迎の意を示した。具体的な企業名は記されていないものの、「野球好きの市民がほとんど知らない会社もあり、大変とまどっている」「知名度を上げることが主目的とすれば、市民にとっては残念」などと、DeNAに対するものとみられる見解を表明。さらに「地元に根づいた活動をされている企業、(中略)共に支えていける企業がオーナーであることを望んでいる」などと、地元連合の動きを歓迎した。

 ◆株式会社ミツウロコ

 1886年、田島達策初代社長がカネイチ運送店を群馬県高崎市で開業。1892年、三鱗社(さんりんしゃ)と改称し、東京に進出した。会社の設立に3つの運送会社が関わっていたことと、魚介類の運送を主に取り扱っていたことから三鱗社という社名になった。1961年に株式会社ミツウロコへ社名変更した。資本金70億7797万2000円で、エネルギー事業を主に行っていたが2011年10月1日付で持ち株会社制へ移行。ミツウロコ・ホールディングスとなり、エネルギー事業を株式会社ミツウロコが、不動産・アミューズメント事業を株式会社トライフォースの両子会社が承継した。横浜駅西口のハマボールイアスの親会社として、横浜との関わりは深い。2011年10月現在、従業員は986人。田島晃平社長。資本金は1000万円。本社は東京都千代田区外神田4の14の1。