<日本シリーズ:中日2-4ソフトバンク>◇第3戦◇15日◇ナゴヤドーム

 竜の切り込み隊長は勢いを失っていなかった。強力なソフトバンク投手陣から奪った2得点。その両方に絡んだのが荒木雅博内野手(34)だった。

 6回1死一塁。追い込まれながらも、摂津の低めスライダーを左翼線へ運び1死二、三塁とした。井端の二ゴロで三塁走者が生還。8回には無死三塁から右翼ファウルゾーンへ犠飛を放ちきっちり仕事をした。

 落合監督の期待にすぐさま応えた。前日14日の練習で指揮官から直接、打撃指導を受けた。「簡単に言うと前で打てということ。体から手を離せということかな」。その内容ももちろんだが、シリーズに入って初めて選手を指導する落合監督の姿に気持ちが奮い立ったに違いない。

 「もう少し早い回に点をとらないといけなかった。(動きは)悪くない。まあこれからでしょう。いい野球ができたらいいと思う」

 今シリーズ初黒星にも割り切った表情で球場を後にした。まだこれからと言わんばかりだ。CSファイナルステージでは打率2割3分8厘と低空飛行だったが、日本シリーズでは第2戦から2試合連続でマルチ安打。熊本出身だけあって福岡ヤフードームで行われた1、2戦は知り合いが応援に駆けつけた。だがもう1度、博多に帰るわけにはいかない。地元名古屋での胴上げへ。背番号2がチームを引っ張る。【桝井聡】