悪ガキ出てこい!

 3年目を迎えた広島野村謙二郎監督(45)が19日、「悪ガキみたいなのが出てきてほしい」と「破天荒」な指令を出した。広島市内のホテルで行われた「広島3大プロ新春談議」で、J1広島の森保一監督(43)らとともにパネリストを務めた。同ポジションに、同タイプの選手が多いことを引き合いに、殻を破り強い個性を求め21年ぶりの歓喜をめざす。

 野村監督は3年目のシーズンに、確かな手応えを覚えている。今年初めて公の場に姿を見せた指揮官は、160人の広島財界人を前に「はっきり言います。投手には手応えがあります。黒田が帰ってくれば言うことなかった」とジョークを交えて、自信を口にした。だからこそ、野手陣のレベルアップを強く望んでいる。その思いを、スローガン通り「破天荒」な言い回しで訴えた。

 「悪ガキみたいなのが出てきてほしい。うちは、みんなおとなしい。おとなしく見えるのは、自信がないからなのか。ハッタリでも良い。出来そうにないことを言って、それをやっちゃう選手が出てきてほしい」

 気がかりなのは、若手の伸び悩み。レギュラーを目前にしながら、チャンスを生かしきれない選手に気をもんでいる。この日は、珍しく個人名を挙げてハッパを掛けた。

 「あえて、名前を出します。岩本、天谷、丸。この3選手は途中まではいいけど、1年間続かない。誰かを1年続けさせて、何とか1人はレギュラーを作りたい」

 昨季は丸が131試合に出場し、チーム2位の9本塁打をマークした。だが、前半戦3割を超えていた打率は、最終的に2割4分1厘。野村監督は「なぜ、来年はスタート(開幕)は自分だと決定づけられないのかという、歯がゆさがあった」と苦言を呈した。

 今季外野の布陣は右太もも痛を完治した広瀬、新外国人スタビノアの2人は確定。残る1枠を岩本、天谷、丸の3選手にくわえ松山、ルーキーの土生らが争うことになる。天谷と丸、岩本と松山は同タイプ。「どっちかを選択することになる」と厳しいサバイバルをあおった。

 春季キャンプでは野村祐輔投手(22=明大)、菊池涼介内野手(21=中京学院大)、土生翔平外野手(22=早大)の大卒ルーキー3人を1軍スタートさせる予定。各ポジションに新戦力を投入し、競争を激化させる。生き残るためには、強い「個」の力が必要。悪ガキ出現がチームを救う。【鎌田真一郎】