<オープン戦:中日4-6ロッテ>◇25日◇北谷

 楽天から復帰した中日山崎武司内野手(43)が、チームのオープン戦1号で完全復活をアピールした。ロッテ戦に4番一塁で出場。ドラフト2位左腕・中後悠平(22=近大)の真っすぐを狙い打ち、左中間席の最深部まで飛ばした。今キャンプの実戦形式は3発目で、腰痛で離脱中のブランコとの一塁争いも大きくリード。開幕4番へ突っ走る意気込みだ。

 一塁を回った山崎から思わずガッツポーズが出た。弾丸ライナーが左中間席へ一直線。10年前と同じ懐かしい応援歌が流れる中、自分のバットで古巣復帰と戦力外からの復活を祝った。

 山崎

 オープン戦とはいえ開幕4番の大役を仰せつかった。アピールしないといけない立場。10年ぐらいオープン戦は結果を気にしなかったけど、今日は若い時のように結果、結果と思って打席に立った。この年でも昨日の夜は緊張したしうれしいよね、やっぱり。

 21歳年下の新人中後に、強烈な洗礼を浴びせた。第1打席は内角直球で二ゴロ。だが3回2死二塁で初球を痛打した1号2ランは、ほぼ同じコースの真っすぐを狙い打って仕留めた。

 山崎

 1打席目は思ったより内に入ってきて詰まらされた。その反省を生かして、じゃあその真っすぐをいってやろうと。予定通りの本塁打でした(笑い)。

 タイミングを微修正するだけで1発に替えた。26年目のなせる技。投手陣の6失点など、初陣黒星発進となった指揮官も絶賛した。

 高木監督

 見とってうれしくなるようなホームランだったよ。若手もヨシ(オレも)と思うだろうし、今日唯一の救いじゃないか。

 ブランコとの一塁争いも大きくリードした。ライバルは腰痛で別メニュー調整中。この間、シート打撃で吉見と平井から1発ずつ放ち、この日も含めた3度の実戦形式で3発の量産だ。

 山崎

 競争に負けたら代打に専念するしかない。でも相手は今、故障で出遅れてる。ブランコがあとからやってきて、ハイ(一塁を)どうぞ、とかませ犬にだけはなりたくないんでね。

 18歳の新人にも刺激をもらっている。前日、高橋周が初の4番で初アーチ。ライバル宣言も飛び出した。

 山崎

 1年生とはいえライバル。(高橋が三塁で出ると)今日みたいに森野が一塁に来る。ブランコだけじゃない。勝たないといけない選手がいっぱいいる。

 かませ犬じゃない-。かつて新日本プロレスで藤波と抗争を繰り広げた長州の名セリフを出し、反攻のエネルギーにした。

 今日26日の阪神戦も出場を志願。4番DHに入る。

 山崎

 今調子を落としたら開幕スタメンはない。好調を維持して、3月30日に出ると思ってやる。これからが本当の勝負。勝った者だけが開幕戦に出られる。

 真顔で締めた。【松井清員】

 ◆かませ犬とは

 もともと闘犬の用語とされる。弱い犬と対戦させ、自信をつけさせる引き立て役のこと。この言葉で有名なのはプロレスでファンを興奮させた長州VS藤波の抗争がある。ミュンヘン五輪代表から新日本プロレスにデビューした長州は次世代エースと期待された藤波に嫉妬。82年10月の後楽園大会で、藤波に対し、長州が「おれはお前のかませ犬じゃねえ」と絡んで殴り合いに。抗争激化のきっかけになった。