<オープン戦:巨人0-4西武>◇4日◇東京ドーム

 西武ドラフト1位の十亀剣投手(24=JR東日本)が、オープン戦に初登板し、巨人打線を3回無安打無失点に抑えた。長野、阿部、小笠原ら豪華メンバーにも堂々とした投球。日大の先輩でもある村田には、持ち味の内角をえぐる投球こそなかったが、遊ゴロに仕留めた。チーム内で激しく争っている開幕ローテーション入りへ、着実に前進した。

 興奮を抑えるように、マウンド上でガッと歯を食いしばった。巨人の豪華メンバーにも、十亀は堂々と渡り合った。最速147キロの直球で観衆の心をガッチリつかみ、風格さえ漂う33球の快投劇を演じた。「応援もすごかったですし、東京ドームというすごい雰囲気の中で、落ち着いて投げられて良かった」とかみしめた。

 「十亀剣」の名を刻み込んだ。4回、先頭の松本哲を2球で追い込み、外角いっぱいの138キロシュートで空振り三振。6回2死から長野に四球を与えたが、阿部はシンカーで二ゴロ、坂本、小笠原は直球で飛球に抑えた。「結果はゼロ(無失点)ですけど、内容に納得がいかなかった。(狙った)コースに投げて打ち取ったんじゃないし、まだまだこれからだなと」。課題を見据える視線は、並のルーキーではなかった。

 唯一、初々しさを見せたのは日大の先輩との対戦だった。4回2死、村田を外角の直球で遊ゴロに抑えたが、内角を厳しくは突けなかった。「思い切って勝負はできたと思いますが。(内角を狙ったボールが)中に入ったのは修正しないと」と反省したが、最大の武器である内角を封印しても、ねじ伏せる力があった。長野への四球には「勝負できなかったのが悔しい」と唇をかんだ後「交流戦ではアウトを取れるように」とリベンジを誓った。

 成長の跡もしっかりとしるした。「力投派」と自負するように、力を最大限ボールに伝えるべく、プロ入りを機にマウスピースを着用。「投げる時に、口が開いてしまうことが多くて。力が抜けてしまうんじゃないかなと」。この日は9アウト中、6アウトが直球。力で押し込めた証しだった。

 渡辺監督は「あれくらいは投げると思った。ボールが先行しても打ち取れるすべを持っているし、レベルが高い」と賛辞の言葉を並べた。現状では涌井、岸、牧田、石井、西口の先発ローテーション入りが濃厚。残り1枠を大石、菊池らと激しく争う。「言われればどこでもやります」と頼もしく語るルーキーの存在感が、日を増すごとに大きくなってきた。【久保賢吾】

 ◆十亀剣(とがめ・けん)1987年(昭62)11月7日、愛知・豊田市生まれ。愛工大名電(愛知)3年時の05年、控え投手で春夏甲子園出場。東都大学リーグの日大では1部4季で未勝利。JR東日本に進み、11年W杯日本代表。同年ドラフト1位で西武入り。最速150キロ。右投げ右打ち。183センチ、82キロ。血液型O。