<中日5-2巨人>◇18日◇ナゴヤドーム

 打った!

 投げた!

 勝った!

 中日は中田賢一投手(29)が投打でフル回転し、巨人戦5試合目での初勝利を運んできた。投げては8回2/3を7安打2失点で2勝目。打っても5回に適時二塁打を放つなど1安打1打点とハッスルした。完封、完投こそ逃したものの、完全復活を印象づける独り舞台だった。

 守道竜には“恐怖の9番打者”がいた。1点をリードして迎えた5回2死三塁。1ボールから高めに浮いた直球を、中田賢はつかまえた。打球は右中間を深々と破り、三塁から井端が生還。効果的な2点目をたたき出したのは、マウンドでも巨人に仁王立ちする右腕だった。

 3回の先制点も1死三塁から中田賢が、低めのカーブを食らいつきホールトンの悪送球を誘ったもの。この男のバットから、ゲームが動いた。今季はこれで登板した3試合すべてで安打を記録。打席でも、勢いが止まらない。

 中田賢

 とりあえずなんとか食らいついていこうと。たまたまですよ。

 乗ってる男は“本業”でも持ち味がさえ渡った。150キロに迫る直球と角度のある変化球を織り交ぜる投球。9回に先頭坂本にソロ本塁打などを浴びて10年8月以来となる完封はお預けとなったが、8回までは二塁さえも踏ませない。前回11日の東京ドームで黒星をつけられた借りをしっかりとお返し。いつもは口数が少ない男も多弁になった。

 中田賢

 一番リズムが良かった。(チームが巨人に)勝っていなかったのはもちろん知っていた。気持ちだけは切らさないようにと思っていた。

 監督復帰後、ようやくライバル巨人から白星をもぎ取った指揮官も、孝行息子に笑いが止まらない。

 高木監督

 東京ドームと昨日と嫌な負け方だったんで、今日勝って良かった。中田が良く投げてくれた。あれはバッティングもいいんですよ。

 巨人戦で開幕から5戦未勝利なら、81年以来となるところだった。ちなみにその81年は通算12勝11敗3分けと巨人にやり返してはいる。今季もまだ始まったばかり。守道竜の仕返しが始まる。【桝井聡】