<阪神0-1広島>◇24日◇甲子園

 この悔しさ、晴らさでおくべきか…。阪神打線が広島マエケンに8回2安打無得点とねじ伏せられ、今季2度目の完封負けを喫した。何度も同じ相手にやられるわけにいかない。3打数0安打の金本知憲外野手(44)はベンチ裏に居残り、1時間にわたって素振りを繰り返した。打倒マエケン、打倒エース!

 次はきっとやり返す。

 今季2度目の完封負けで、甲子園は静まり返っていた。そんな中、金本が額に大粒の汗を浮かべて、ベンチから出てきた。試合終了から約1時間後の話だ。疲労とは無縁。1人だけ残って、黙々とバットを振り続けた模様だ。昨年まで何度も見られた光景だが、44歳の大ベテランになっても、それは変わらない。

 完敗の夜が金本を突き動かした。それだけこの日は、ノーヒッターの実力を認めざるを得なかった。相手エースを攻略できず、2連勝中の火曜日に、初めて土がついた。指揮官は悔しさを押し殺した。

 和田監督

 マエケンの投球に対しては、完敗だ。

 負けず嫌いの性格をもってしても、潔く敗戦の事実を受け止めるしかなかった。

 全くチャンスがなかったわけではない。それでも1点が遠かった。5回から3イニング連続で走者を出した。特に7回の攻撃は先頭新井が中前への二塁打で出塁。しかし5番ブラゼルが空振り三振。金本が二ゴロ。先発起用した7番大和に代打策も考えられたが、指揮官は22日DeNA戦で6打点を挙げた男に賭けた。

 和田監督

 あそこは、大和の足もある。転がせば、何かが起きる。スライダーを狙っていたと思うが、それだけの技術がない。捉えきれていない。

 数少ないチャンスでいかに進塁させていくか、がポイントではあるが、主軸に打順が回り、攻めを選んだ。ブラゼルと金本で合わせて6打数ノーヒット。勝負に向かった結果。だから完敗と認めた。

 和田監督

 今日はアウトがうまく使えなかった。走者を進めれば、何とかできたが、打順的にも勝負にいった。

 広島前田健との前回対戦(12日)は、代打桧山の「神業」とも言えるポテンヒットで執念のドローに持ち込んだ。しかし内容を見れば、2戦連続で封じ込まれた形だ。予告先発により、十分に対策を練って試合に臨んでいるが、プロの世界はそう甘くない。

 和田監督

 今日に関しては、狙い球を絞っているが、マエケンのキレが上回っていた。何とかしようと思って、対策を練って、ミーティングをしている。エースがそういうピッチングをすると、簡単には打てない。

 長いペナントレースで、今後もエースと対決する可能性はある。三度目の正直で攻略しなければ、道は開けない。ただし救いはある。それは金本が流した汗だ。打てなかったら、バットを振る-。シンプルではあるが、誰にでもできることではない。この姿勢が、次こそ頼むぞ、という期待につながる。【田口真一郎】

 ▼阪神の3安打は今季ワーストで4試合目。リーグ最高打率.255を記録した昨季の3安打以下は5試合しかなく、早くも追いつきそうなペース。前田健に対しては、昨年4月26日(マツダスタジアム)から5連敗。今季は2試合で1勝を献上し、対戦防御率は0.60となった。

 ▼阪神は火曜初黒星。和田監督の独自理論では火曜と日曜の勝利を重視しているが、日曜は1勝3敗、火曜は2勝1敗。