<阪神1-2巨人>◇6日◇甲子園

 巨人沢村拓一投手(24)が「二枚腰投球」で今季2勝目を挙げた。6日、阪神戦に先発し、7回2/3を投げ、被安打8の無失点。3回を除き5回までは毎回、得点圏に走者を進めたが要所を締め、6回からは一段階ギアが上がり、3者連続三振もマーク。自身プロ入り後、最速タイの154キロを含む、今季最多の127球の粘投で、ゴールデンウイーク9連戦(6勝2敗1分け)を白星で締めくくった。

 俺がやるんだ。沢村が驚異的な二枚腰で今季2勝目をもぎとった。ゴールデンウイークを締めくくる伝統の一戦で、甲子園のマウンドを陣取った。「走者を出したけど粘れた。僅差の試合をものにできたので、もっと、もっと強くなると思います」と、いつも以上に納得の表情を浮かべた。

 型破りの思考回路で虎打線と対した。初回から5回までは毎回先頭打者を塁に出し、ピンチの連続のように見えた。だが「先頭打者を出す投球が苦しいとは僕は全然思っていない」と、定説を全否定。むしろ「本当は良くないのかもしれないけど」と、前置きした上で「走者がいるときの方がモチベーションが上がる」と、力説した。イニング中に要所でギアを一段階上げるすべを披露した。

 試合の中でも投球内容を一変させた。アンダーシャツを長袖から半袖に着替えた6回にスイッチが切り替わった。ベンチで川口投手総合コーチから「沢村がすごい投手だというのを見せるためには、ここからが大事だ!」とゲキが飛んだ。沢村は「見せつけるとまではいかないけど、そういうつもりで投げました」と、圧巻の3者連続三振。6回での降板も考えたベンチに続投を決断させた。

 6戦目の登板で、ようやく今季2勝目をマーク。リーグトップの46奪三振が象徴するように好投を続けているが、打線の援護を受けられずに我慢を強いられた。3回、先頭平野の打球が右すねを直撃した。「僕が止めなければ中前打になってしまう。意図的に足を出しました」。内野安打にはなったが、身をていして勝負への執念を示した。「肝っ玉を据えて、多少、痛かろうがドーンと構えて勝負しないとチームも勝てない」。投球だけじゃない。勝負へのこだわりが沢村の二枚腰を完成させている。【為田聡史】

 ▼沢村が今季2勝目を挙げた。昨年から阪神戦は通算3勝2敗となったが、42回を投げ5失点で防御率が1・07。甲子園球場では通算防御率0・94と、阪神打線に得点を与えない。この日は得点圏に走者を置いた場面で1回右飛、四球、右飛、三振、2回左飛、4回三ゴ、三振、三振、5回四球、中飛。これで今季の沢村は得点圏では24打数2安打の被打率8分3厘。得点圏で許した安打は、4月6日阪神戦の5回に二、三塁で平野に打たれた単打、同21日ヤクルト戦の1回に一、二塁で川端に打たれた三塁打の2本しかない。