<DeNA4-2中日>◇6日◇横浜

 中日高木守道監督(70)が仰天采配だ。2点を追う7回、新外国人投手のホルヘ・ソーサ(35)の来日初打席で“本塁打指令”。ドミニカ共和国の英雄サミー・ソーサ氏(43)の親せきで、メジャー通算3本塁打の怪力に懸けた。結果は三ゴロで、その裏1球も投げずに3番手小林正にスイッチ。秘策も実らずチームは連敗したが、守道劇場は何が起こるか分からない。

 「ピッチャー、ソーサに代わりまして小林正」。7回裏、思いもよらぬ投手交代がアナウンスされた。直前7回表の攻撃で、ソーサは先頭打者として打席に立っていた。2点ビハインドの展開で、本来なら投手に回れば代打の場面。そのまま打たせたなら、7回裏も続投ではないのか…。だが竜の将は真顔で驚かせた。

 高木監督

 ソーサの1発を期待したからね。バッティングはキャンプで見てる。今日はピッチングで気合も乗っとったし、回ったら打つぞと本人に言ってあった。まあ走者がいれば野手の代打を送っとったけど。

 投手ではなく、何と野手として打席に送っていた。それも期待は本塁打。そんな漫画のような投手がいるの?

 そんなことがプロ野球であるの?

 監督の野望は2月から渦巻いていた。

 北谷キャンプ。ソーサは打撃練習で左翼後方の防球ネットを越える、140メートル弾をブッ放した。Tウッズやブランコですら未到のド級弾。高木監督も代打起用について「送られた野手は泣くぞ」と大笑いで色気を見せた。メジャー609本塁打のサミー・ソーサ氏の自称親せき。ブレーブスでは06年に年間3発を放っている。7回はその怪力に懸けた。知恵袋からの助言もあった。

 権藤投手コーチ

 まだ9回じゃないし勝負どころはある。堂上の兄とかは残しておかないといけない。打撃がいいから監督に進言した。前から考えてたよ。先に打席に立たせて、投げさせようとしたこともあった。でもそれでは投手の準備ができないと断られんだ。

 ベンチが温めてきた大マジのマル秘作戦。ソーサも「ホームランを打つ気持ちでいった。スイングは悪くなかったね」。来日初、2年ぶりの打席は、篠原の真っすぐを強振して三ゴロ。指揮官は9連戦の連敗締めを「大不満だね」と厳しく採点したが、ソーサ作戦の不発には納得顔だった。

 高木監督

 どんな打撃をするか見たかった。でも若いヤツより、ちゃんとした三塁ゴロを打っとるやん。

 3日はサインの伝達ミスに激怒し、途中からサインを出すことを放棄。4日はファンのヤジに「バカヤロー!」。5日は福田を小1以来の二塁で起用。そしてこの日も仰天采配と守道劇場は連日全開だ。70歳の将から目が離せない。【松井清員】