ブラよ、1発ぶちかませ!

 阪神クレイグ・ブラゼル内野手(32)が今日16日開幕の「2012

 日本生命セ・パ交流戦」を前に、ホームラン特訓を敢行した。15日、西宮市の甲子園球場で行われた全体練習に参加。フリー打撃後に、雨中のロングティーに取り組んだ。和田豊監督(49)の助言もあり、その心は「ホームランを打て!」。マートンとともに交流戦躍進の鍵を握る男が、一心不乱にバットを振った。

 フリー打撃を終えたブラゼルがノックバットを握った。打撃ケージ横で、おもむろにロングティーを始めた。遊び半分かと思ったが、真剣だった。降りしきる雨の中、約20分、黙々とバットを振った。スピンのかかった打球が大きな円を描く。空に向かって、打っているようだった。

 和田監督

 彼のひとつの練習法だ。去年もこういうタイミングでやっていたし、今日も時間があったから、「思い出してやってみれば」と横浜の試合前に話をした。

 詳細を説明することはなかったが、これは指揮官の指令だ。1発、ぶちかませ-。交流戦終了後の昨年6月21日。長打の出ないB砲は、同じようにロングティーを敢行した。当時の和田打撃コーチは狙いをこう話している。

 「ホームランを打ってほしいから」

 今季のブラゼルは、打率2割9厘、4本塁打で本領発揮とは言えない。13日のDeNA戦では、初回に2点タイムリー二塁打を放ったが、和田監督は「内容がもうひとつ。2日休みがあるので、有効に使って、調子を上げてもらわないと」と厳しかった。この時点で、「ホームラン特訓」の指示を通達していた模様だ。ブラゼルはこの日、ロングティーを終えると、ボール拾いのため、自らアルプス席まで足を運んだ。そして、びしょぬれのまま、険しい表情でクラブハウスに戻っていった。

 今日16日から始まる交流戦で、鍵を握るのは、ブラゼル&マートンの両外国人だ。この2人が打てば、得点力アップは確実。和田監督も言い切った。「ブラゼルだけじゃなく、マートンと2人の状態が上がってこないと、本来の流れにならない。2人がポイントになってくる。今のままでいいと思っていないだろう」。特にブラゼルは7番降格も経験。完全復活なくして、チームの上昇はない。

 今季はセが逆襲するチャンスがある。阪神にとっても、3年連続の負け越しから脱出する好機会だ。和田監督は「交流戦の浮沈がシーズンの順位に影響する」と気合を入れる。投手力はある。あとは打線が爆発するか。ブラが強烈パンチをかませば、虎の躍進が見えてくる。【田口真一郎】