<ヤクルト1-9ソフトバンク>◇17日◇神宮

 ハッピー・バースデー弾だ。ソフトバンクがヤクルトに圧勝し、交流戦初勝利で連敗を4でストップさせた。先陣を切ったのはこの日29歳の誕生日を迎えた松田宣浩内野手。3回に今季5号となる先制3ランを放ち打線を勢いづけた。多村の今季1号、ペーニャの9号など今季最多の16安打で前夜大敗したヤクルトに「お返し」。一夜にして3位に再浮上した。

 亜大時代の思い出が詰まった神宮で迷いなくバットを振り抜いた。目の前でペーニャが敬遠気味に歩かされ燃えないはずがない。ヤクルト赤川のシンカーをとらえると、打球は左中間スタンドの中段に吸い込まれた。

 「ナイス・ハッピーバースデー!

 神宮で打てて最高です」

 29歳の誕生日に自らあげた祝砲が、打線を目覚めさせる呼び水となった。多村の今季1号2ラン、ペーニャの9号2ランと仲間の祝砲を打ち上げ、チームは今季最多の16安打で連敗を4でストップした。

 自らの節目に普段以上の力を発揮する。昨年の誕生日も福岡ヤフードームで本塁打を放った。「去年も打ったし、今日は3本ぐらい打ちますよ」と試合前に予告していた通り、2年連続のバースデーアーチに加え、3安打で3試合連続猛打賞をマーク。本塁打、単打、二塁打とサイクル達成に王手をかける勢いで打線を引っ張った。サイクルに王手をかけたのは6日の楽天戦に続いて今季2度目。「最後は小久保さんに三塁打を狙えと言われたんですけど。まあ2度あることは3度あるということで」と次のチャンスを狙う。

 プロへの道を開いた球場で、存分に力を発揮した。「神宮は好きな球場。大学で4年間やってきたところなので」。前日16日は午前中にスタンドへ足を運び、母校がリーグ優勝を決める試合を観戦した。優勝の瞬間は見届けられなかったが大学日本一を目指し、胴上げをしなかったという後輩たちの様子を聞いて「よし」とうなずいた。「日本一」の目標を掲げた後輩が刺激になった。

 妻の恵理さん(28)と愛息の一冴(いっさ)くん(1)もスタンドでパパの活躍を見届けた。試合後は家族で食事をして誕生日を祝った。「サプライズでケーキを用意していたんですけど、ひっくり返しちゃったんです。でも今日はいい結果が出たので良かった」と恵理さん。チームは再び3位に浮上。「自分はいいスタートが切れた。でも何よりチームが勝てて良かった。毎日、チームのために頑張ります」。リーダーとしてこれからもチームを引っ張っていく。【前田泰子】