もう、大丈夫!

 阪神マット・マートン外野手(30)が20日、甲子園球場で行われたシート打撃で2安打を放った。ともにマートンらしい中堅から右方向へのライナーで、見守ったシーツ駐米スカウト(40)も復調へ太鼓判を押した。

 観衆のいない甲子園に快音が響き渡った。シート打撃、主力組の先頭打者として打席に入ったマートンはいきなり鶴の直球をとらえた。白球はライナーで右前に弾んだ。暴言騒動後、初めてとなる“ヒット”だった。さらに続く打席では左腕松崎からまたも右方向へ。右中間を真っ二つに破る二塁打だ。

 「ナニモ、アリマセン」

 この日も報道陣には対応しなかったマートンだが、代わりに復調を予言した男がいた。16日ロッテ戦からチームに同行しているシーツ駐米スカウトだ。

 「今日(20日)、見ている感じでもよかったし、もうすぐ元の状態に戻れるんじゃないかな」

 広島から05年に阪神に移籍し、07年まで活躍。優勝にも貢献した同スカウトはマートンの状態を気にかけ、来日後は会話の中でさりげなく“助言”していた。

 「すべてをシンプルに。これは、アドバイスとかではなく、野球のことを話し合う中で彼に言ったよ」

 暴言騒動や、ストライクゾーンの問題などで精神的にストレスをため込んでいた助っ人を、絶妙の言葉でリラックスさせた。リーグ再開へ向けて、徐々にいつものマートンに戻りつつあるようだ。【鈴木忠平】