<巨人3-3ヤクルト>24日◇東京ドーム

 巨人阿部慎之助捕手(33)が、偉大な先輩に肩を並べた。ヤクルト11回戦(東京ドーム)の6回、右翼席中段へ10号ソロを放ち、巨人では王、長嶋、原に次ぐ4人目となる12年連続の2ケタ本塁打をクリアした。プロ1年目からは長嶋、原に続く3人目となる。試合は延長11回引き分けに終わり「特には…」と感慨もなかった主将。球団史上3人目となる記録は通過点だ。

 節目の数字を、阿部らしい放物線でクリアした。1点を追う6回2死、第3打席。ヤクルト先発石川の初球だった。「追い込まれるまで強く振ろう」と決めていたところに、おあつらえ向きのスライダーが来た。好投左腕の数少ない失投を逃さない。「よく飛んでくれたね」と、120メートルの10号ソロを振り返った。

 阿部にすれば低いハードルかもしれない。ただ長い巨人軍の歴史で、入団から12年連続で10本以上の本塁打を放った長距離打者は、過去に2人しかいない。長嶋茂雄と原辰徳。ともに監督として仕えた大打者だ。勝利に結び付かず試合後は言葉少なだったが、野球人・阿部のこだわりが記録として形になった。

 阿部

 僕から「休ませて下さい」とは、絶対に言いません。登録抹消はもっての外です。僕には責任があるから。

 大きなケガをしても長期離脱せず、無理をおしても試合に出る。巨人の看板を背負う自負と責任感は誰より強く、チーム内でライバルが台頭することを許さない。ずっと、そうやってきた。

 今季から同僚になった橋上戦略コーチは、安田学園高の先輩。シーズン冒頭、こんな言葉をもらっている。「そろそろタイトルを取ろう。集中を切らさなければ絶対にいける。3冠王だって取れるはずだよ」。直系の言葉は守る。打率はリーグトップをひた走る。本塁打と打点はバレンティンを追う。勝って、タイトルも手中にして、文句なしで長嶋&原に肩を並べたい。【宮下敬至】

 ▼阿部が今季10号を放ち、プロ1年目の01年から12年連続2ケタ本塁打。巨人で12年以上続けて2ケタ本塁打を記録したのは、60~80年王の21年、58~74年長嶋の17年、81~94年原の14年に次いで4人目。王はプロ2年目からで、プロ入り12年連続は長嶋、原に次いでチーム3人目だ。