<日本ハム1-2ロッテ>◇19日◇札幌ドーム

 首位陥落も、日本ハムはシーズン最終盤へ「布石の1敗」だった。19日、ロッテ17回戦(札幌ドーム)は、同点の7回に2番手森内寿春投手(27)が3連打を浴び、2失点でプロ初黒星。結果的に継投失敗となったが、栗山英樹監督(51)は最近10試合で7登板していた「7回の男」宮西を休ませることを選んだ。混戦パ・リーグを戦い抜くため、先を見据えた采配での黒星となった。

 首位を固める3タテには、あと1歩届かなかった。1点差に詰め寄り、さらに2死満塁と攻め立てた9回。西川の打球がファウルグラウンドに打ち上がると、栗山監督は深いため息をついた。「あそこまでいったら勝たなくちゃいけない。頑張りたかった。結果がすべて。悔しい」。言葉には落胆がにじんだが、シーズンを通しての「結果」にこだわり、喫した1敗だった。

 苦渋の決断があった。両チーム「0」で迎えた7回。好投を続けてきた中村に代えて送り出したのは、信頼度抜群のセットアッパー宮西ではなく、森内だった。ロッテは岡田、鈴木、根元、角中、ホワイトセル、福浦と6人の左打者がズラリと並んでいる場面。今季はここまで勝ちパターンの7回を任され、17日ロッテ戦で通算100ホールドポイントを達成したばかりの左腕だが、ここ10試合のうち7戦でマウンドに上がる登板過多。「使いたかったけどね。しょうがない。いろんなことを考えなきゃいけない」。シーズンの最終盤に疲労で本来の力を出せないことの方が、チームにはマイナスであると判断。休ませることを選択した。「(残り)40試合を切って、最後の最後までわからない感じ」という混パを戦い抜くために出した、答えだった。

 森内は1死一塁から根元に右中間を破られる適時三塁打を許すと、続く角中にも中前適時打を浴び、プロ初黒星となった。「追い込んでから、決めきれなかった。次にこの負けを生かせればいいです」。悔しさは残るが、ルーキー右腕にとっても貴重な経験になった。

 西武が勝ち、7月31日から守っていた首位を陥落。1位から4位までわずか3ゲーム差の大混戦。栗山監督は「ともえ数が多い方が面倒くさい。自分たちが落ちないようにということしか考えていない」と言った。黒星は痛いが、最大の目標を求めるがための戦術で喫した1敗。悔しさは、ラストスパートをかけるための肥やしとする。【本間翼】