<ソフトバンク3-0ロッテ>◇9日◇福岡ヤフードーム

 ソフトバンク・ウィリー・モー・ペーニャ外野手(30)は、スタンドへの着弾を確信してゆっくり歩いた。「打って2、3歩歩くときは手応えがある時だ」と特大弾の儀式を明かす。0-0の3回1死一、三塁。藤岡の内角直球をしばき上げた。左翼席上段、推定140メートルのでかい当たりは、この試合唯一の得点場面となる大きな1発。それでも、本塁打直後のコメントは「ノーパワー。(左翼席上の)ビジョンに当てるにはね」だった。

 固定できなかった4番が、勝負の時に威力を発揮し始めた。8月以降6本塁打で、西武中村に3本差とキング争いも繰り広げる。要因にペーニャは「慣れ」をあげる。「まだ学習段階だが、9月までに日本のいろんな投手と対戦し、打席でリラックスできている」。日本にきて感じたのが内角攻めの多さ。この打席もロッテバッテリーの内攻めを読み、打ち砕いた。

 お立ち台では武田を巻き込み、離脱中の松田のパフォーマンス「1、2、3マッチー」を叫んだ。「この場にいなくて一番悔しい思いをしているのが松田。CSに出れば必ずその時は戻ってくれるだろうし、これをテレビで見ていてくれたらうれしい」。チームのために、仲間のために戦う気持ちが強い。残り21試合。ペーニャのゆっくり歩く儀式がチームの力になる。