西武涌井秀章投手(26)が5日、覚悟の単年契約で更改した。この日、契約更改交渉に臨み、早ければ来季中にFA権を取得する右腕に、球団は「2年総額5億円以上」を提示。「まさか(複数年を)されると思わなかった」と感謝しつつ、「去年、今年と成績を残せなかったので、来年は僕の野球人生で勝負の年になる。自分に厳しくというつもりで」と単年を選択。1000万円増の2億2000万円(金額は推定)で判を押した。

 来季は先発復帰が決定済みだが、原点からのスタートを誓った。「先発に戻していただけるので、また一から西武のエースになっていければと思います」と殊勝に話した。今季は週刊誌報道での謹慎を含め、2度の2軍降格。守護神転向で30セーブを挙げるなど、紆余(うよ)曲折の1年だったが「野球をやっていて、幸せだなと思う1年だった」と振り返る姿に、成長の跡が示された。

 WBC日本代表候補にも選出されたが、「便利屋枠」での出場を熱望した。「前回は先発にこだわっていましたけど、今回は便利屋の枠で入れてもらえれば」と主張。背番号も「16番でも、つけてこなかった番号でもいいです」と柔軟な姿勢を示した。ダルビッシュらメジャーリーグに所属する選手が軒並み辞退。「メジャーリーガーがいないから負けたとは言われたくないです。絶対に優勝したい」と3連覇を誓った。

 交渉に臨んだ鈴木球団本部長は「(涌井から)来年、勝負をかけたいと。強い気持ちを感じたし、やってくれると思います」と大きな期待を寄せた。用意された色紙に、日本一と記した右腕は「抑えを経験したことで、リリーフの気持ちや大変さも分かった。来年、しっかりした成績を残して、今年が無駄ではなかったと思える1年にしたいです」とすがすがしい表情で話した。【久保賢吾】