鳥谷よ「アーチスト」になれ!!

 阪神、ロッテで活躍し、今季限りで現役を引退した今岡誠氏(38)が9日、日刊スポーツ評論家に就任し、阪神鳥谷敬内野手(31)に「30発指令」を出した。13年型打線の中軸に位置づけ、中距離打者タイプの鳥谷に30本塁打のノルマを課した。全球アーチを狙う打撃練習を勧め、「4番を打たせてもいい」とも言及。猛虎復活を願い、後輩に熱いエールを送った。

 古巣への愛情があふれる「第一声」だった。阪神で2度のリーグ優勝に貢献した今岡氏が日刊スポーツ評論家に就任。今季、5位に終わり、来年、巻き返すためのキーマンとして鳥谷を指名した。貧打を解消する中軸として期待は大きい。

 今岡氏

 トリにも言っているけど(打率)3割10本塁打のラインではなくて3割30本100打点。そういう目標を持ってほしい。3割を打つ技術はある。能力があるから(30本塁打も)大丈夫。今のメンバーを見て、トリが打たなかったら、上位には行けない。3番なら今までのトリ。個人的に4番を打たせてもいいと思っているし、4番を打つ意気込みを持って、練習することが大事だと思う。

 現役時代、鳥谷とともにプレー。能力の高さを認めるからこそ、あえて高いハードルを課す。自身も03年に打率3割4分で首位打者を獲得。その後はポイントゲッターの役割を任されたこともあり、長打を狙い打つようになった。05年には29本塁打を放ち、球団記録の147打点を稼いだ。チーム事情に応じて、打撃スタイルを変える。不動のレギュラーだからこそ、置かれた立場を自覚してプレーする重要性を強調した。

 今岡氏

 30本、打てるような練習をしなさいということ。すべて本塁打を打つ意識で打撃練習をすることが大事。打つなかで自分の感覚をつかんでいくこと。今まで左前打で「よし」としていたのを豪快に引っ張ったり、バックスクリーンに打ったり…。トリが3割を打ってもチームは変わらない。(例えば)30盗塁するのも大事だけど、ホームラン30本を打つ方が効き目がある。20本打ったことがあるなら、打てるよ。

 今季、チーム本塁打数58本はリーグワースト。長打力不足に泣いた。鳥谷も今季は打率2割6分2厘、8本塁打と苦しんだ。それでも09年には20本塁打をマークした実績があり、スラッガーへの変貌を期待される。この日、大阪市内のホテルで催された今岡氏の「引退記念パーティー」に出席した鳥谷も語気を強める。

 鳥谷

 小粒な選手になりたくない。強くたたき、その結果が本塁打になる。今年の成績をすべて上回らないといけない。

 チームから要求される打撃に徹した今岡氏から理想像を示された。鳥谷が豪快にパワフルにスケールアップすれば、猛虎再生は近づく。【酒井俊作】