このままじゃお隣も保留するぞ。ソフトバンク大隣憲司投手(28)が11日、福岡ヤフードーム内の球団事務所で契約更改交渉に臨み、倍増の年俸6000万円を保留した。1年間先発ローテを守った12勝左腕は、交渉で球団側に歩み寄る姿勢が見えないことに不満を隠さず。早くも保留者は7人を数え、今後も“大荒れ銭闘”が続くと不気味な予告をした。

 約40分の交渉を終えた大隣は不満そうだった。「生意気にも、保留させてもらいました」と吐露した。自己最多12勝で、3完封はリーグトップ。昨オフに杉内、和田、ホールトンが抜けた計43勝の穴を埋めようと必死に先発ローテーションを守った。それでもリーグ3位に終わった代償は大きく、目標設定していた年俸7000万円と提示額には差があった。

 大隣

 考えているラインに届かなかった。ここ数年で今年しか成績を残していないのは分かっている。球団の話もしっかり聞いたが、自分の中で納得できないし、しっくりこなかった。

 日本一でバラ色だった昨オフの更改に比べ、今オフは保留者が続出。この日で計7人に達した。金額の上積みがないことに不満を感じる選手が多いようで、荒れ模様が続いている。

 大隣も時に中5日で先発したことを訴えたが、金額アップにつながらなかった。交渉の内容を「歩み寄りがなかった。交渉にならない。もっと話し合いをしてほしい。また来年頑張って倍にしたらいいじゃんという感じ。こっちは1年1年が勝負なのに」とぶちまけた。「みんな同じ思いだと思う。このままだと保留する人が増える」と荒れた銭闘が続くと予告した。

 交渉にあたった石渡編成・育成部長は、大隣の主張に「歩み寄りはあった。こちらから提案もした」と強調する。両者に認識のズレがあるのは確かだ。

 大隣は昨年9月に元タレントの妻優子さんと結婚。「独身だったらサインしてたかもしれない。今は1人じゃないことも考えないといけない」と、譲れない理由がある。次回交渉は明日13日に設定された。「同じ金額なら保留した意味がない」。ピンチでの投球同様に、納得するまでとことん粘るつもりだ。【大池和幸】

 ◆ソフトバンクの契約交渉

 V逸、リーグ3位で、始まる前から石渡編成部長が厳冬を予告していた。11日までの交渉で7人が保留している。3年継続して成績を出すことをベースにしているが、それ以上の年数を代走として貢献してきた城所、控え捕手の山崎はダウン提示に納得がいかない様子。城所は「目が点になった」とショックを隠せなかった。外国人、育成を除き昨季は57人中23人がダウン。今季はここまで42人が交渉に臨み16人がダウン提示を受けている。