【ホノルル(米ハワイ州)14日(日本時間15日)=為田聡史】巨人内海哲也投手(30)が、予告通りに優勝旅行先でのトレーニングを敢行した。ランニング、キャッチボールなど個人トレーナーから渡された約2時間のメニューを消化。バカンス気分は一時的に封印した左腕は、来年3月のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)へ向け「日本が勝つためだったら僕は何でもやる」と、緊急登板、ロングリリーフ、連投も辞さない意欲を示した。

 早朝7時。静かなリゾート地には異様な光景だった。内海は宿泊ホテル近くの公園に高木康、小山、宮国とともに現れた。身にまとったのはアロハシャツではなく練習着。引き締まった表情でアップを開始すると、キャッチボール、100メートル×10本、50メートル×10本のインターバル走、体幹トレーニングと次々に消化した。みっちり約2時間、汗を流した。

 せっかくハワイまで来たのに、まるでジャイアンツ球場にいるかのような本格的なトレーニングを敢行。「朝イチでいい練習ができました。ボールはハワイの気候だからなんとも言えないけど、今日はしっくりきた」と、充実感だけを漂わせた。行動だけでも十分にWBCに対する気持ちがにじみ出ているが、口をつく言葉にはさらに強い思いがこもっていた。

 内海

 前回(09年)は裏方のようなもの。でも、ダルビッシュとか岩隈さんがしびれるシーンで投げているのをベンチから見ていても、すごい重圧と闘っているんだなと感じた。あの興奮は国際大会でしかない。僕は貪欲に行きたい。

 なんとしてでも侍ジャパンの一員として戦いたい。そのためなら身を削っても構わない。「柱はマー君(楽天田中)になると思う。僕は、前回と同じような立場でもいい。それぐらい思っています」。ロングリリーフ、ワンポイント、連投…。とにかく何でもやる覚悟を示した。ただ、実際には実力、経験を考えれば、韓国戦やキューバ戦といった大一番を任される可能性は十分にあることも事実だ。

 謙虚かつ貪欲な姿勢が勝負どころで力を発揮する源にもなるはず。不慣れなメジャー球を握りながら「チェンジアップさえ、しっくりくれば大丈夫だと思う」と、少しだけ自信ものぞかせた。2年連続最多勝投手が日本のために全てささげる。