ヤンキース傘下スクラントンを自由契約になった福留孝介外野手(35)の阪神入りが24日、決定的となった。阪神はDeNAと激しい争奪戦を繰り広げてきたが、条件面はほぼ互角のまま交渉を終了。ただ、福留に近い関係者によれば、福留は天然芝の甲子園という環境面などに好印象を持っているという。今日25日に移籍先を表明する。

 争奪戦のゴールが見えた。阪神としては訴え続けてきた誠意が報われる形となりそうだ。福留は前日23日までに両球団との交渉を打ち切って、代理人、所属事務所の関係者らと会談を持った。テーブルの上に並べられた条件はほぼ同じ。ただ、福留に近い関係者によれば、本人は天然芝の甲子園という環境面、DeNAにも劣らない阪神側の誠意に好印象を抱いているという。

 紆余(うよ)曲折の争奪戦だった。課題である外野守備の強化のため、和田監督の希望もあって福留獲得に名乗りを上げた。水面下で交渉をリードしながら、中村GMが初対面したのが11月28日だった。報道陣のマークをかいくぐっての極秘交渉で熱意を伝えた。この時、阪神側が提示したのは2年3億円プラス出来高(3年目は球団に選択権のあるオプション契約)という条件だったことが判明した。

 メジャーを最優先に考えていた福留サイドは、ウインターミーティング終了後1週間が経過した今月14日に移籍先を国内球団に絞ることを決断した。そして、阪神、DeNAと最後の交渉を行った。阪神はマネーゲームには参加しないという当初の方針通り、出来高の見直しで対応した。最終的に条件面は年俸1億5000万円の2年契約(3年目は球団に選択権のあるオプション)で出来高を加えると総額7億5000万円の提示になったとみられる。

 福留本人の口から正式に球団に伝えられるまで予断を許さないが、福留を獲得できれば、西岡、コンラッドに続いて、今オフの補強が成功裏に完了する。強肩と広い守備範囲は甲子園で守り重視の野球をする上では欠かせない戦力になる。さらに勝負強い打撃で5番打者を任せる構想もある。

 当初はDeNA有利という情報も伝えられる中で、南球団社長の下、中村GM、木戸、嶌村両GM補佐らフロント陣ができる範囲内で交渉を続け、粘り強く、誠意を示し続けた。福留は今日25日、決断を表明する。阪神の争奪戦勝利は、もう目前だ。

 ◆福留孝介(ふくどめ・こうすけ)1977年(昭52)4月26日、鹿児島県生まれ。PL学園-日本生命を経て98年ドラフト1位で中日入団。02年に初の首位打者に。07年オフにFAでカブス移籍。インディアンス、ホワイトソックスを経て今年7月にヤンキースとマイナー契約し、9月に戦力外。96年アトランタ五輪、04年アテネ五輪、06年、09年WBC日本代表。183センチ、91キロ。右投げ左打ち。