もう年俸分の働き!?

 ソフトバンクのドラフト1位・東浜巨投手(22=亜大)が28日、新人研修の一環で1日営業マンに変身し、名刺持参で支援企業を訪問した。ユニホームの袖と球場広告スポンサーのエバーライフ(本社・福岡市)では東浜の礼儀正しいキャラが決め手となり?

 推定数億円の契約が更新へと前進。知名度抜群のルーキーは球場外でも即戦力だった。

 さっそうとタクシーに乗り込んだ。東浜はスーツの内ポケットに入れた刷りたての名刺を確認すると、「行ってきます」と元気な声を残して福岡の街に飛び出した。約2時間後。にこにこ顔で球団事務所に戻ってきたルーキーの横で、なぜか引率した営業マンが興奮。「東浜選手はすごく丁寧でした。今年も1年間支えていただける確約をもらいました」とまくしたてた。

 会社の仕組みや一般常識などを学ぶ新人研修の一環で行われた、スポンサーへのあいさつ回り。人生初の「営業マン」として東浜が向かったのは、健康食品関連のエバーライフ本社。ユニホームの左袖と福岡ヤフードームに商品名の広告を出しているお得意さまだ。応接室で同社の井原副社長らに「東浜です。よろしくお願いします」とあいさつし、名刺を交換。2年目の亀沢のアシストもあり、同社が取り扱うサプリメントの話題で会話をつないだ。

 約30分の“商談”の末、年間数億円とも推測されるスポンサー契約は更新に向けて動きだした。正式契約こそ先ながら決め手の1つが?

 東浜のキャラクターにあった。井原副社長は「彼は礼儀正しく、謙虚で素直。人の話をよく聞いているし、応援したくなりますね」と感心しきり。第一印象が大切とされる世界で完璧なつかみをみせた。

 東浜本人は「こういう機会はないので勉強になりました。自分は何もしていないんですけど…」ときょとん。下交渉は本職が進めてきたが、営業の最前線にドラフト1位を送り込んだ球団の思惑にきっちり応えた形。契約金1億円プラス出来高5000万円、年俸1500万円の価値に匹敵する働きぶりだった。

 東都リーグ最多の420奪三振、22完封をマークした即戦力右腕。ただ亜大では野球だけでなく、人間力も磨いた。寮生活では毎朝2人1組で向き合い、正しい姿勢で「おはようございます」「ありがとうございます」というあいさつ練習が伝統。「全ての基本はあいさつです」と、アマ時代に染みついた武器がこの日の“活躍”につながった。

 スーツの襟で誇らしげに光った「Sh」の金バッジ。もちろん東浜が本当の輝きを放つのはユニホーム姿のマウンド。新人合同自主トレは今日29日がラスト。真の実力は目前に迫ったキャンプインからお披露目だ。【押谷謙爾】

 ◆ソフトバンクの昨季のユニホームスポンサー

 3カ所広告スペースがある。左袖は健康食品の通販を手がけるエバーライフ(本社・福岡市)、右腰は住宅建築販売の昭和建設(本社・福岡県久留米市)、ヘルメットは通信関連大手のエリクソン・ジャパン(本社・東京)。セ・パ交流戦のビジター以外で着用。